第5話

「和也様」

「ん?」

 僕は自分の名前を呼ぶ声が聞こえて、そちらの方に顔を向ける。

 そこにいたのは僕直属のスパイ組織の隊長君。

「例の準備が出来ました」

「ん。ありがとう。隊長君。初めて置いて」

「了解しました」

 隊長君はドロンと煙幕を投げ、その場を去った。

 ……毎回いなく成るときに煙幕を投げるの辞めない?

 君は忍者かな?……君は忍者の末裔でしかないでしょうに。

 例の準備。

 それは、第二次日清戦争の準備だ。

 実は日露戦争のために、日本は日清戦争で大分無理していて国体はボロボロになって次に戦争したら負けるという情報をあえて敵国に流していたのだ。

 当時はこれでロシアが日本を侮って日本に振り向ける戦力を減らし、ロシア市民が長期戦になったときに怒らせ、ロシアで革命を起こしやすくことを願ってのものだった。

 しかし、日清戦争がなくなってしまったせいでそんな作戦は流れてしまった。

 なのでその作戦を再利用することにした。

 この情報は清にも流しているので、今清国の市民は日本へ復習すべき!という思想を持った過激派の人たちもいるのだ。

 それをいい感じに利用して、戦争が起こるように根回しするのだ。

 どう利用するかは隊長君たち部隊に任せてある。

 上手くやってくれるだろう。

 

 ■■■■■

 

 1905年。

 満州事変。

 実質的に日本が統治していた満州で起きた事件。

 ロシアが満州からも朝鮮からも手を引き、欧州各国は第一次世界大戦で忙しいので、アジアはヨーロッパからノーマーク。

 アメリカも第一次世界大戦の方を気にしている。

 なので平然と日本が勝手に満州を統治しちゃってるのだ。

 普通に満州から清の兵を追い出し、日本軍が闊歩し、日本の法律で裁かれている。

 こんな大胆なことしてもどこからも文句を言われることない。

 いやー、第一次世界大戦様々だわ。

 だが、そんなことしていれば当然清も怒る。

 そして、武力行使に出た。

 正確に言うと、出させたんだけどね。

 清の軍が満州へと進行。

 日本軍と清軍が激突した。

 その際に南満州鉄道が清軍に爆破された。

 隊長君が爆破した。

 それを理由として日本が清に宣戦布告。

 正式に日本と清との間に戦線が開かれた。

 第二次日清戦争が開戦された。

 日本の謀略によって。

 

 満州ポケット。

 日本が取った戦略は僕の世界線の未来のゲームで有名な戦略だ。

 手順は簡単。

 日本軍は予め決めていた防衛戦まで撤退。

 そして、作戦通り清は何も考えず意気揚々と満州へ攻め込んできた。

 びっくりするくらい呆気なく清軍の主力を全ておびき出すことに成功した。

 その後は簡単。

 日本軍が、天津に上陸。

 そのまま進軍し、満州に進軍してきた哀れな清軍の主力を包囲、殲滅してしまうのだ。

 日本軍は清軍を包囲するために行動を開始した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る