第3話 時空を越えるこはできるのか?

「しまった!」


 俺は、あるとてつもなく重大な間違いをおかしてしまった。


 くそう……飯代がない!


「どうする?」


 俺は所謂独り暮らしを人いる何処にでもいるごく普通の男子高校生。斎藤乙さいとういつ十六歳。


 ある日ヒョンなことからお金がありません。


 とにかくだ金策なんですよ、金策ですから。


 だがどうする無から金を産み出す錬金術など覚えがないし、くそ!俺に資産があればいくらでも悪どい手を使ってやると言うのに……。


 とにかくBOOK・OFFにいらない本でも売りに行くぞ!メルカリではないのは今すぐ金がほしいからだ。


 どうする、この読みもしない親父のマルクス・エンゲルス全集(全53巻)でも売りに行くか!


 今ではオンラインで安く読めるし、いらないだろ経済学者でアメリカ合衆国に行ってることも親父も理解してくれる。ついでに数学の本も売ろ。


 リュックに担いで十数巻。全部で五千円になった。


 なんとか食いつないでいける。


 ピロロロロ……。


 スマホがなっている……ないぃ親父からだ、帰るって!


 MA・ZU・I⭐親父は外では天皇制家では共産制の変わり者だか勝手にマルクス売ったのばれたら!怒られてしまう。


 LINEからもう家に着いていると書いてある。


 どうやって誤魔化す……。


 とにかく何者かが家を荒らしたと伝える。いやそれでは警察に通報するだろう。


 どうする。


 まあ、いいや。適当に怒られとこう。


 よく考えたら親父は人の親。男でひとつで俺を育て上げた立派な男の中の男。怒るはずがない!


 家に着いたぞ


「親父ぃ……アメリカで名を挙げたのか、まさか、ノーベル賞でも取ったのか?だが今時の経済賞は新古典派か行動経済学派以外取れねーぞ、専門は確かケインズだろ、ケインズは死んでるぞ……」


 我が父斎藤啓さいとうけいは妙にオシャンティーなメガネをクイっとすると


「大学クビになったこれからは金融工学のデイトレーダーとして生きていく。早速証券会社に出かける!ついてこい息子!東京に行くぞ」


 啓はそう言う。


「親父、勝手に行ってくれというか日本の適当な大学教授のほうがいいだろアメリカ帰りはそれだけで武器になると思う」


 俺の助言に


「それもそうだな、いやー参った参った、一本取られたなぁ」


 へらへら笑う。


 今だ!今なら勝手に本売ったの許してもらえる!


「ごめんなさい、勝手にマルクス売ったの。食うに困って、でも親父の給料が悪くて仕送り少ないのが悪いんだぞ」


 俺がそう言うと


「……メルカリか?」


 と啓が訪ねる。


「BOOK・OFFです」


 俺の答えに


「この馬鹿者!金をドブに捨てやがって!メルカリなら高く売れるだろうが!」


 うわ、親父のマジギレしてきたよ。


「BOOK・OFFは即換金できるメリットあるから、マルクス全集なんて誰も買わない」


 俺は華麗に反論


「うむ、確かに」


 あちゃー納得しちゃっか……啓はあんまり議論がつよくない。それで論文や講義の出来のわりにいつも言い負かされショボい奴扱いされのだ。


 とにかく俺は勝利した


 やったぜ


 ついでだが、家を売った。日本の文系教授は薄給なのよ……。


 

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