第4話 ゲーム開始 1日目



1日目 (月曜日)


そうこの間の金曜日に私達のクラスでくじ引きをした際、不運な事に私と高橋くんが当たってしまった…。

それからというと高橋くんがいつも以上にイライラしているように見える。

落とした物を拾おうと少し立ったり、動いたりするだけで睨まれたり舌打ちをされる。

「私が引いたわけじゃないのに…。」と口で言えないので心の中でつぶやく。

休み時間、武田くんと加藤くんが高橋くんの所に来ると早々にその話をするのが聞こえる。

「高橋はどうするんだ。付き合うのか?」

加藤くんが高橋くんに問いかけていた。

「くそっ!なんで俺がこんな奴と付き合わねぇといけねぇんだよ!」

その言葉に武田くんが続いて話し出した。

「でも、もう引いちまったものはしょうがなくね。まぁ一週間だけだからさ!そう重く考えるなよ!すぐ終わるさ!」

その言葉に高橋くんは大きなため息をついた。

「はぁぁぁ。ちっ。仕方ねぇな。一週間我慢すればいいだけだもんな」

高橋くんは自分に言い聞かせるように言っていたが、その言葉も全部聞きたくなくても聞こえるのでこっちとしてはたまったもんじゃない。

しかしそんな事を言えるわけもなく、ただ静かに小説を読みながらそう思った。

授業が終わり、いつものように図書室で小説を読んでいると気づいた時には辺りは真っ暗になっていた。

私は急いで、読んでいた小説を元あった位置に戻して早々と図書室を後にした。

昇降口を出ると図書室から見るよりだいぶ暗くなっていた。

私はいつもより少し早いペースで帰ろうと思い歩き出そうとした瞬間、後ろから「おい。お前なんでこんな遅くまで学校にいるんだよ。」と聞き覚えのある声が聞こえた。

急に話しかけられたので一瞬ビクッとしたが、後ろを振り向くと、案の定予想は的中し後ろに立っていたのは高橋くんだった。

「えと、図書室で小説を読んでいたら、気づいた時にはこんな時間になっていたから、今から帰るところでした」

少し緊張したが話すことができた。

高橋くんはというと、手元を見る限り部活で着たTシャツでも入れているのであろう、バッグを持っていたので部活帰りだと予想した。

「なんで敬語なんだよ。てかお前いつも小説読んでるのか?」

その言葉に私は少し驚いた。舌打ちも怒ったりもせず普通のトーンで話しかけられたからだ。

その言葉に私は頭を縦に振った。

「そうか」

そう一言だけ発して帰って行った。

今起きたことは、時間にすると短かったのかもしれないが私にとっては初めての事だったのでとても長く感じた。

帰り道いつもの道を歩きながら「なんだったんだろう。高橋くんが私に話しかけてくるなんて…」とさっき起こった事が夢だったんじゃないのかと思い、自分頬をつねってみた。

ちゃんと痛みがあり現実だと知った。

私はゲームで当たったからかなとかたまたま機嫌がよくて話しかけたんだろうと思うようにした。



──────────1日目終了






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