　「この階層が巨人の居間と呼ばれている理由をご存知ですか？」

　「置いてある家具みたいなもんがバカデカイからだろ」

　第2層である巨人の居間には、とても人間には使えない巨大な家具があちこちに置かれている。最初に到達した者はその様子を見て、巨人の居間と呼んだそうだ。

　「でっかーいベッド！！」

　「お嬢ちゃん、そいつは怪物の巣だぜ」

　「この階層に出現する怪物はウォールアイとセンチピード、主に家具の上に巣を作ります。近寄ると一瞬で喰われてしまうでしょうね」

　巨大なベッドの隙間からは、赤く輝く目がチラリと見える。

　「あれはウォールアイの警戒行動ですね。彼らは群れで行動します、襲われる前に別のフロアへ移動しましょう」

　「強化剤を補給しておく」

　「適量にしてくれよ？」

　一行が別フロアの入り口に達した瞬間、背後から無数の音がした。吉村が音に素早く反応し、斧をブーメランのように投げる。襲撃者の腕が吹き飛んだ。

　「ウォールアイ… ですね。こうなったら仕方ありません。まだまだ来ますよ。パトリシアさんを囲うようにフォーメーションを、キイルトースさんは突っ込まないように」

　「分かっている」

　「ベテランの技を見せてやる」

　「ためしぎり！」

　無数の目をつけたボール型の怪物が巣から次々と飛び出す。戦闘開始。

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