下準備

 ベースキャンプは食料、回復剤、簡単な武器、魔剤などの様々な物資が補給できる冒険者の休憩所だ。武器だけは専門の政府公認店へ行かないと、滅多に手に入らない。まぁダンジョンで手に入れちまえば良いんだが。


 ダンジョンは1日に一回構造と出現する怪物、宝が変化する。この宝ってのが重要だ。 


 お嬢ちゃんが言ってたように、魔法の杖もあれば、異様な切れ味の剣、金貨などがある。それらがダンジョン内のどこかに必ず出現する訳だ。冒険者には目が眩んで怪物に殺される奴も大勢いる。棺桶屋が儲かるのも当然だろう。


 「回復剤は3つ、いや、4つか? お嬢ちゃんが心配だ」

 「独り言が多い! とっとと買って向こうへ行け!」

 「すまん、すまん、ほら、金だ」


 ベースキャンプでは通常通り共通通貨の円が使える。一応ここは日本だからな。それにしてもせっかちな店主だ、もっと気楽にしてくれよ。


 5年前のダンジョン探索では、同業者狩りに足の腱を切られちまってリタイアしたが、今回は対策もしてある。命を賭けて潜る程の価値がこのダンジョンにはあるんだ。4階層の怪物はあまり強くはない、油断さえなければ帰還は出来るだろう。


 「サンクメディック社の支払いは良い! お前らも入った方が稼げるぜ!?」

 「え〜 そう言ってもなぁ、契約があるしぃ」


 さっきからちらほらと企業の雇われが多く見える、あんなでっかい銃持って何相手にするんだか。奴らが目指すのは10階層やそこらだろう、俺たちには関係のないことだ。


 広場に出た。時間も丁度、3人が集まってるのが見える。無事に帰還出来ることを願おう。

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