道具屋

俺達はひとまず道具屋に向かった。




売っている品物の値段を見ると…




薬草などの医療品が5ゴールド。




聖水(500mL)が、10ゴールド。




その他様々な道具類があり、野宿道具などはセットになって売られていた。




生徒の頃は養成所からの薬草と聖水がセットになった支給品を使うことが出来たが、探検者になってからは、ギルドからそれが買う形で支給されている。




しかしこちらは30ゴールドとなっていて、この店で買う値段の2倍だった。




1ヶ月間の遺品回収の時は金がなく、それを買わずに4層に向かっていたが、買わなくてよかったと今更だが思った。




「この薬草を3束と…聖水を1個…そして料理セットを1個に野宿セットを3個買います。」


アルトがゴールドを出しながら言う。




ゴールドを店主が受け取ると、




「はい、まいどあり…って、お客さん新しい探検者かい?そんならおまけしとくさ、ほら、これ持ってけ。」


店主が上にある棚を漁ったかと思うと、魔法のかかっているであろう白紙を渡された。




「この紙はなんですか?」




ニアが聞く。




「これはまだ白い紙だけど、村や町、国に行くとその地名が記されるんだ、便利だろう?ほら見てみろ、箱から出したからすでにこの国の名前がでてる、私の発明品なんだ、あぁ、もちろんお代はいらないさ、これが私から出来る最大の餞別さ…」




地図にはこの町の地名と思われる、『アイーダ』の文字が書かれていた。




そして今いるこの町と国の輪郭がハッキリとしてきて、その輪郭の中心には国名だと思われる『アデニア』と言う文字が大きく書かれていた。




「あっ、それとお前さんたちは何人パーティーだい?」




店主が思い出したように言う。




「6人です。」




と俺が言うと、店主は少し驚いた顔をした。




「お!お前さんたちは6人のまま1年間やり遂げたのかい!そりゃ凄いねぇ、ほら、そんな頑張った若者にはご褒美だ、これもやるよ。」




店主は箱をカウンターの下から取り出して開けると、丁寧にしまわれた6つのコンパスが出てきた。




銀色のコンパスが5つに金色のコンパスが1つで、何故か金色は5つの針がついており、針は全て左へ向き金色のコンパスを指している。


そしてなぜか他の銀色のコンパスは全て右を向き金色のコンパスを指している。


「壊れたコンパスですか?でもなんでこんなものを…」


俺が言う、魔法がかかっているとは思ったが、このコンパスの使い方を聞くためにあえて言ってみた、すると店主はしっかりと説明を始めてくれた。


「これは壊れてなんかないさ、むしろこれが正常なんだ」


やはりそうだろうと思った。


「これはリーダーはみんなの位置を把握出来て、他のメンバーはそのリーダーの位置がわかるんだ、はぐれた時に便利だぞ。」


なるほど、この金色のコンパスはアルトに持たせようと思った。


「お前さんたちのリーダーは誰だい?そいつに渡しておくといい。」


「ここにいるこいつです。」


とアルトを前に出す。


「あ?俺がリーダーなの?まぁ楽しそうだしいいか!」


とアルトは金のコンパスを受け取り、俺とニアに銀色のコンパスを渡す。



「あいつらには後で渡そう…」


とアルトは自分の腰に着けた鞄に3個のコンパスをしまい込みながら言う、そして店主に向かって、



「ところで店主さん、聞きたいことがあるんですが。」


と言った、これが本題なのだ。


すると店主がはっきりとした口調で言う。


「なんでも聞いていいさ、俺はこの店をやってると噂なりなんなりが風に乗ってやってくるんだ、確証はないが、聞いたことは伝えれるぞ。」


そしてニアが口を開く。


「魔法書が隠されている迷宮を知っていますか?」


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