第52話

 俺は意識を取り戻した。

 するとそこにはミロットとプライムがいた、こいつらどうやってここに来たんだ?


 周囲をキョロキョロと見回してみると場所は変わらずフレッゾの街があるの荒野のどこかである。

 更には荒野に放っていたゴーレムたちがみんな集まっていて軍団を形成していた。


 その中心に俺たちはいた。


 それはそれとして一体どうやって俺を見つけたのか、その疑問をミロットたちにぶつける。


「お前ら、どうやって俺の居場所を?」


 するとミロットたちはいつの間にやら俺の周りに集まっている白いバイアスゴーレム とチビクロを指差した。


「これだけ集まれば遠目からでも分かる、それにお前がウチのアトリエに置いていたゴーレムたちがここを目指して移動したからな」


「あの顔を隠していたヤツが消えた後、しばらくしたらいきなり街の外に行こうとしたからビックリしたんだよ~?」


 ……なるほど、どうやら俺のゴーレムたちは俺が気絶したのを理解した時から倒れてる俺の周りを守るために集まってきたらしい。


 命じたわけでもないのに俺を守ってくれるゴーレムたち、なんとなく嬉しい、心がほっこりする気分である。無論それはミロットたちにしてもだ。


 ミロットたちに礼を言う。


「そうか、なんにせよ俺がモンスターにパックリいかれてないのはお前らとゴーレムのおかげだな。ありがとう」


「……ふっそう言う事にしておいてやろう」


「いやっ普通にゴーレムだけで十分だったでしょ? 僕らってラディアに基本的に貸ししかないからね?」


「うるさいぞ、このスライムめ。いつまで意味もなくランプに引きこもっているだお前は!」


「なっなにを~!?」


「くくっアッハハハハ!」


 アホみたいな会話をするミロットとプライムに思わず笑ってしまった。

 その後の話は黒マントの事を聞いた。あの強盗黒マントはあれから姿を見せることはなかったようだ。


  いきなり現れていきなり消えるようなヤツである、油断はならないからな。

 寝てる時とかに盗みに入られたらさすがに怖い、あともう一つ気になることがあった。


 俺は………どうやってあの怪しい2人組やらリザードマンを退治したのだろうかね?

  正直俺が倒したのは間違いないしゴーレムにお任せしたような気もするのだが、詳しい内容がイマイチ思い出せない。


  そういえばあのインテリ風に強制的に酔っ払うあの酩酊魔法をかけられたような気がする……気のせいか?


 まあ記憶にないことは考えても仕方ない、俺はミロットに現在のフレッゾの街の様子を聞いた。

 するとどうやらフレッゾの街の人間に犠牲者は出なかったようだ。


 と言うか街の冒険者たちも兵士たちもリザードマンたちがいきなり現れてそして何故かいきなり消えたのか分かってはいないらしい。


「何でもやたらとうるさい雷の音とリザードマンたちの悲鳴が遠くから聞こえたらしいが……詳しいことは闇夜に紛れて分からなかったそうだ」


「雷? それにリザードマンの悲鳴って……なんだそりゃあ?」


 リザードマンたちの大半はアンデッドのはずだから悲鳴を上げていたのはリザードマンネクロマンサーかそれと同じ能力を持ったその他のネクロマンサーだったのだろう。


 にしても雷って……夜のウチに嵐でも起こってリザードマンを全て掃除でもしたってのか? 意味分からん。


 しかしフレッゾの街の人間たちにからすれば、モンスターたちを葬った謎の存在の方も新しい脅威なのだろうな。


「しばらくは厳戒態勢が続くそうだ」


「………そうか」


 俺としてはフレッゾの街の脅威も去ったことだし、その謎の存在まで追うつもりはない。

 ならばさっさと自分たちの目的に向けて旅に向かうというのをやぶさかではない。


 というか記憶にはないが……俺は相当馬鹿なことをしたような気がするのだ。

 これ以上フレッゾにとどまるとどうも面倒なことが起こる予感がする。


 なんとなく覚えてるのだが、あのインテリ風たちもテレポートしてた。クソマントといい怪しい2人組といいどいつコイツも……俺もテレポーターな仲間が欲しいな、だって便利だし。


 いきなり現れていきなり消えるタイプのやつらってさファンタジー世界で出て来る敵キャラとしてすごく嫌だ、あの街にまだいるとまたいきなり現れてケンカ売られそうで怖いし。


 リザードマンたちはほぼ壊滅させたわけだし、多分フレッゾの街も安心だろ。


 今後は自力でどうにかしてもらおう、うん。

 俺は冒険者なチビエルフなのだ、新たな冒険が俺を呼んでいるって訳である。


「と言う訳で日が昇る前にフレッゾの街を出ようと思います、異論は認めません」

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