第45話

「……うっわ、なんじゃこれっ」


 俺はコンドルゴーレムと視界を共有しフレッゾの街の上空から見下ろした、今は夜、その時間では本来は闇しか見えないはずだがゴーレムの視界には普通にフレッゾの街を取り囲むようにするリザードマンたちの姿が見えた。


 まるで統制された軍隊のように綺麗に並んでいるリザードマン軍団。普通に今が昼ならフレッゾの街なパニックになりそうなレベルの規模だ。


 おいっふざけんなよあの数100どころの数じゃねぇぞ。どっからこんな来てんだよ。

 コンドルゴーレムで周囲の様子を探るととんでもないものが見えた、アナウンスで言ってた巨大生物だ。


 と言うか、その姿に俺は見覚えがある。それはなんとバイラスだった、あの上半身は猿で下半身はタコ足の民家以上に大きなモンスターである。


 ……さすがにおかしい、あいつはすでに倒されたはずだ。俺のゴーレムによって。

 こんなとこにいるはずがないのに……そこでふとっもしかしてっていう気づきがあった。


 俺はこの荒野に解き放っている全てのコンドルゴーレムたちを動員し視界を共有、以前リカラたちと 談合をしていたあの邪悪な感じのリザードマンメイジを探した。


 空からの人海戦術である、人じゃないけどな……元からか。時間にして数分とかからずにそいつらは見つけることができた。


 そして前々からもしかしたら行けるんじゃないかと思うことがあり、それを試してみることにする。


 ゴーレムクリエイト!


 俺はその邪悪なリザードマンメイジの近くにミニチュアサイズのリザードマンをクリエイトした、同じリザードマンのゴーレムだったら奴らが交わす全く理解できない会話も理解できるんじゃないかなと思ったからだ。


 多分、視界が共有できるなら聴覚の方も共有してるからゴーレムを通して会話を聴くことが出来ているんだと思うからである。

 単なる思いつきだったかこれが成功した!


 シャーシャー五月蝿いだけだった連中の会話が手に取る様に分かった。


「グルール様、どうやら作戦は成功したようです」


「クックックッ…まあリザードマンの集落が次々と襲われたという報告を聞いた時はどうなるかと思ったが……これも天啓だな、我々ネクロマンサーがリザードマンたちを率いていたのだ。まさか倒されたリザードマンたちの死体がその場に放置されていたのもまさに奇跡よ……我々は本来想定した以上の戦力を持ってこのフレッゾの街を攻撃することができるというわけだよ」


「はい その通りです まるでお膳立てをさせられたかのような…何者かが我々に協力しているのでしょうか?」


「クックック……お前には話していなかったが実はワシにはフレッゾの街の人間どもを始末するためにとある組織とワシは繋がり……」


 俺はそこで会話を切った。


 ちょっと連中の話を聞きたくなくなったからだ、どうやら奴らはリザードマンメイジではなくリザードマンネクロマンサーだったらしい。


 なるほどな、あの馬鹿げた数、そのネクロマンサー様もさすがに1体というわけではないだろう。

 おそらく複数のリザードマンネクロマンサーがいる。そいつらがこそこそと俺が倒したリザードマンたちをアンデッドにでもしたのだろう。


「倒したリザードマンたちの死体を横着してその場に放置しなきゃよかった…」


 バイラスにしたってそうだ、あんなデカブツどうしせ運べねえし押しつぶしたヌリカベゴーレムも土に還した時に、崩れた石と土の下に埋もれちまったからもう掘り出すこともできないだろうと思ったんだ。


 よもや発見されてアンデッドとして利用されるとは思わなかった。

 ということは何だ? この状況はもしかしたら………俺が悪かったりするのだろうか?

 これは…いけないな。


 何とかしてフレッゾのリザードマンたちを掃除しなければいけない。もちろんリカラたち魔族2人組相手もしながらだ。


 そしてアトリエに現れた謎の黒マントのやつもだな、こっちの対処も俺が……。


 なんか……ちょぉう面倒くさ過ぎて嫌になってきたんですけど!

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