第27話

 会話もそこそこに進む俺たちは小部屋の前に到着する。

 小部屋の入り口にはうっすらと黄色味がかった膜のようなものが張ってある。


 試しにゴーレムに突破させようとするが普通に弾かれたやっぱり力押しは無理だな。


「ミロット、これをどう思う?」


「おそらくだがここに来る時に魔法陣を出現させた 魔力の持ち主だけがこの結果を破れる、または無力化できるのではないか?」


 なるほどそんな感じの仕掛けもあるのか、とりあえず俺はバイラスゴーレムを隣に配置してミロットが言う結界とやらに触れてみた。


 すると結界は泡が弾けるように消えた。


「本当にこれで通れるようになったのか?」

「おそらくな」


 そして俺はそのまま小部屋の中に入ろうとした。

 その時だ、肌がピリつくような異様な感覚に襲われる。


 なんだ? 

 俺が訝しんでいるとバイアスゴーレムのタコ足が俺の前にスッと伸ばされた。

 これはゴーレムが俺にこれ以上は進むなと言っているのではないか。


「ミロット、この小部屋の中に入るのは危険かもしれないぞ。何か心当たりないか?」


「ちょっと待ってろ……まさかあれは!」


 ミロットが目を見開いた。


「あの宝箱が置かれてる台座、紫色の水晶のようなものだがあれはもしかしたらデッドリースコーピオンの毒針で作られたものかもしれないぞ…」


 デッドリースコーピオン、何そのめっちゃくちゃ強そうなサソリモンスターにつけられそうな名前。


「デッドリースコーピオンの尻尾を先には紫色の水晶のような美しい毒針がある、そしてこの毒針は特殊な能力があってな、その針に刺されると体が動かなくなると同時に寿命、つまり生命力そのものを吸収されてしまうんだ。その毒針を媒体として行う儀式には呪いで対象者の寿命を削ったりする禁術などもあると言われる」


 デッドリ~強そ~そんなモンスターとは戦いたくないな。しかし強い装備品を得るには強いモンスターを狩る必要があるのが……これは別ゲーのはなしだったわ。


「………とんでもないな、そんなもんで作られてるのかあの台座」


「おそらくだが、あの紫色の輝きは何かしらの魔法が発動している証拠だ。もしかしたらこの小部屋に入っただけで寿命を吸われるかもしれん」


 何その見ただけで判断できない恐ろしすぎるファンタジートラップ。


 近づいただけで寿命を取られるとか悪質すぎんだろ。さっきの欲望のなんたらといい、この神殿の設計者は相当に性格がひん曲がってるな。


「寿命が吸われるとかどうすれば……いやっゴーレムなら寿命とかってないだろうし行けねぇかな、バイラスあの台座壊せないか?」


 バイラスゴーレムのタコ足が2本、小部屋の奥へと向かう。1本は宝箱をすっと回収し、そしてもう1個が下の台座を思いっきりひっぱたいた。


 水晶の台座が粉々に破壊される。破壊されたと同時に紫色の輝きは失われ真っ黒い物質へと姿を変えた。


「魔力の消失を確認した、もう安心だろ」

「そうなのか?」

「間違いない」


 ミロットの墨付きか正直信用していいか微妙だな……。

 バイラスの時はともかくいやっ神殿に来てからは助けられたりしたんだ、きっと大丈夫だ。

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