第7話

 下流の方に放った魚ゴーレムに集中しようとした時、外から騒がしい音がした。

 仕方ないので魚ゴーレムを川底の目立たない所に待機させて俺はハウスゴーレムと視界を共有する。


 目なんてないハウスゴーレム、しかし視界を共有する事は出来る。視界を共有するとハウスゴーレムの回りをわりと高い視点から見回す事が出来た。


 騒がしい原因を確認すると、どうやら川の方からモンスターが現れた様だ。

 モンスターは身長はニメートル以上ある大柄な人型で二足歩行している。


 人間に近い姿だが裸で腕が異様に長い、指も爪も長い、頭は人間じゃなくて魚だ、ヒレがトゲトゲしい感じで凶暴そうな顔をしている。


 対峙するのは五体のリザードゴーレム、流石に魚頭の方が大きいな。しかし数はこちらが上なんだからそうそう……。


「ギュララララララーーーーーーーッ!」


 魚頭のくせに普通に声とかだすのか、流石はファンタジーな世界だ。

 魚頭が叫び両手を前に突き出す、するとバレーボールくらいの水の玉を弾丸みたいに発射してきた。


 嘘だろう、一瞬でリザードゴーレム達がやられた。離れていたリザードマンメイジのゴーレムは無事だったが魔法を放つ前に魚頭に接近されあの長い腕が一閃。


 リザードマンメイジもやられる。


「……………」


 ゴーレムなのに耐久力なさ過ぎじゃね?

 いやっ元はやられた人型ゴーレム並に頑丈なはず、あの魚頭の攻撃力が高いんだ。

 ともかく魚頭はリザードマンゴーレムを全滅させた後はこちらのハウスゴーレムに近付いて来ている。


 俺の傍には壷ゴーレムとタライゴーレムしか居ない、コイツらじゃ流石に魚頭を相手にするのは無理だろう。だって魚頭、普通に強過ぎないか?


「………試してみるか」


 実は前々から試してみようかと悩んでいた事がある、それを実行する事にした。


「ゴーレムクリエイト!」


 魚頭の回りの土がメキメキと蠢く、その数……十数個だ。

 その全てがリザードマンゴーレムとなった。

 魚頭はリザードマンゴーレムに囲まれた事を理解すると近くのヤツから攻撃をしようとする。


 成功したな、遠距離クリエイト。これなら安全な場所からゴーレムを作り出す事が出来るぞ。


 全てのリザードマンゴーレムが両手を前に突き出した。先程の魚頭みたいにな。

 そうっ今回生み出したリザードマンゴーレムは全てリザードマンメイジなのだ。


 一度生み出したゴーレムなら同じ性能や能力を持つゴーレムなら幾らでも生み出せる、テーブルトークRPGなら反則みたいな行動だがリアルファンタジーなら問題なくやれたぞ。


 魚頭が魔法を発動しようとしたが流石に今度はこちらの方が速い。

 リザードマンメイジゴーレム達が火球を魚頭に発射する、あの数を一度に倒す事は流石に無理だろう。


「ギュララララーーーーーー!?」


 魚頭は普通の魚さん同様に火に炙られてしまった。

 食べる気にはなれないな、何しろ黒こげになってしまったんでね。


 念の為リザードマンメイジ達に川の方を確認させて新しい魚頭が来てない事を確認してからハウスゴーレムから出て行く。


「……ゴーレムクリエイト」


 地面からメキメキと土が変形する。

 魚頭のゴーレムが現れた、これは強そうだ。


「飲み水を魔法で出せる?」


 魚頭ゴーレムは返事とかしない、しかし片手を前にだすと蛇口から出るくらいの量の水をジョボジョボと出した。


 どうやら本当に飲み水を水の魔法で出せるらしい。少し飲ませてもらいお腹が下さなかったら今後は魚頭ゴーレムにお世話になるだろうな。


 増えすぎたリザードマンメイジゴーレムの数を二体にまで減らして武器を使えるリザードマンゴーレムを四体生み出す。


 実はこの四体しかモンスターの解体とか魚の調理はしない、リザードマンメイジは基本見てるだけだったので全てをリザードマンメイジゴーレムにすると俺の為に調理してくれるヤツが居なくなってしまうのだ。


 リザードマンメイジ二体と武器持ちリザードマン四体、そして魚頭ゴーレム一体を俺とハウスゴーレム、壷ゴーレムとタライゴーレムを守らせる形になった。


 よしっ安全面がより増した所で下流への魚ゴーレムの探索を再開しよう。

 俺はハウスゴーレムの中に戻った。

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