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 J国に住む宮下は、携帯電話のアラームで目を覚ますと、寝床に居座ったまま携帯電話でニュースをチェックし始めた。


 すると、とんでもないタイトルの記事が目に入り、気づいたときにはガバっと布団から起きだしていた。



『電波が人体に対して有害であると判明。携帯電話を利用する人々への影響は?』



 その記事には、あらゆるモバイル機器が発している電波が人体への悪影響を及ぼす可能性があるとA国の研究者が発表したという内容から始まり、各国の政府および研究者はそれが本当に事実なのか裏付けを行っているという内容で締めくくられていた。


 最初、宮下は出来の悪いフェイクニュースかと思った。


 しかし、その記事が信頼あるメディアから配信されていることが分かった。そしてニュース記事の一覧に戻ると、他のたくさんのメディアもこの件に関する記事を配信しており、これがドッキリなどでなければ事実であると認めざるを得なかった。


「おいおい、これから世界はどうなっちまうんだよ」


 それから宮下の生活は一変した、かと言うとそうでもなかった。


 最初は世界中の人々がパニックに陥ったものだが、冷静に考えるとこれまでずっと電波の中で生活してきているわけで、少なくともすぐに体に影響を及ぼすものではないことに気づいた。つまり、X線とかと同じように「直ちに影響はない」というわけだ。


 それでも世界的に権威のある研究者が発表した内容だったこともあり、人々は急に電波という見えない存在に対して不安感を覚えるようになってきたのも事実であった。直ちに影響はないとは言っても、体に悪いものがそこらじゅうを飛び回っていると考えると、否が応でも沈んだ気分にはなるものだ。


 そして、この研究結果が何かの間違いであることを人々は心から望んだ。

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