#07 怒ったり落ち込んだり忙しい八木






 気まずい空気のまま駅に着き


『それじゃぁココで。 気を付けて帰ってね。 さようなら』

 と言い、改札に向かって歩きだそうとすると、腕を掴まれた。


 むむ?と八木カンナの方を振り向くと


「あ、あの! そこのマック行ってもう少しおしゃべりしませんか?」


 えー・・・

 駅までじゃなかったのかよ

 ていうか、この空気でおしゃべり続けるのかよ

 超メンドクサイんですけど


 僕が困っていると


「おごりますから!シェイクとポテト、一緒に食べませんか?」


 めっちゃ必死じゃん

 そんな顔で言われると、断りにくい・・・


『わかった。 でもおごりは良いよ。それくらい自分で出せるから』


「ほ、ホントに!?」


『うんいいよ。 どうせこの後帰るだけだし。 行こっか、マック』


「はい!」


 そう言ってマックに向かって歩きだした。

 八木カンナは、なぜか掴んだ腕を離してくれず、レジで注文して会計する時になってようやく離してくれた。



 二人分のシェイクとポテトが乗ったトレーを持って2階に上がり、テーブル席に向かい合って座った。

 周りは同じような高校生がいっぱい居て、同じ高校の制服もチラホラ居た。



 気を取り直して、ポテト摘みながら話しかけた。


『八木さんは学校帰りにマックとかよく来るの?』


「友達とたまにですけど。 でも男の子とは初めてです」


『へぇー、僕も学校帰りに女の子と来るのは初めてかも』


「そ、そうなんですか!?」


 凄い喰いついてきた。

 そんなに喰いつくとこあったっけ?

 嬉しそうな顔してるし


 それからは気まずかった空気も和らぎ、八木カンナも普通にしゃべるように戻っていた。



「そう言えば、聞きたかったんですけど」


『うん?』


「この間、どうして助けてくれたんですか? あの時間だと遅刻しそうでしたよね? 普通だったら無視して行っちゃうと思うんですけど。 実際に栗山くんが来る前まで何人も素通りしてましたし」


『う~ん・・・なんでだろ。 自分でもよく分かんないけど、なんか気になったというか、何かあったら後味悪い気がして』


「そうだったんですか・・・ちょっと期待しちゃってました」


『え?期待したって?』


「いえいえ!何でもありません!」

「そ、そう言えば!もう1つ聞きたいことが!」


 なんか誤魔化されたな


『うん、なんだった?』


「その・・・えっと・・・栗山くんって、今、お付き合いしてる人とかは・・・?」


『うん、一応居るよ。 別の学校だけど』


「え・・・やっぱり・・・そうだったんですか・・・」


 また凹んでる

 アップダウン激しいな、この子


『そう言う八木さんはどうなの? 彼氏居そうに見えるけど、実際はどうなの?』


「い、いませんよ! わ、わたし、彼氏居たこと無いですから!!!」


 エェー

 今度はちょっと怒りだしたぞ


『そ、そうなんだ・・・何と言っていいか分かんないけど・・・どんまい』


「うう・・・ひどい」


 今度は泣きそうな顔してる。

 なんだよ、もーコイツ、めんどくせー


『だったら、今朝一緒に居た男子とかはどうなの? 幼馴染なんでしょ? 付き合い長いなら相性とかも良いんじゃないの?』


「じょーだん、止めてください。 あの人とはホントにそんなんじゃないんです。 むしろ、馴れ馴れしくされるのすっごい嫌なんです!」


 今度は不機嫌になって、シェイクをズビィィィって一気に飲みだした。

 まぁ確かに、気が無い相手に馴れ馴れしくされたら、うっとおしいよな


 君に付き纏われてる今の俺みたいにな!


『まぁ、その気持ちは分からないでもないよ』


「そ、そうですよね! どうしてなんですかね? こっちは全然その気無いの態度に出してるのに、すっごいしつこいんですよ」


 いや、それ今の君じゃん


『それ、そのまんま言ったら? 馴れ馴れしくされるの迷惑だって』


「そうですね・・・やっぱり言った方がいいですよね・・・」


『まぁ、勘違い君っぽいから、トドメ刺さないとダメだろうね』


「はい・・・考えてみます・・・」


『電車の時間もあるし、そろそろ帰ろうか』


「そうですね。 ごちそうさまでした」


『あい、ごちそうさまでした』


 二人で手を合わせて、席を立って、ゴミとトレー片付けてお店を出た。




 駅に着くと

『それじゃぁ気を付けて帰ってね、バイバイ』


「今日はありがとうございました。 また月曜日に」


 お互いそう挨拶して改札前で別れたが、同じ方面の列車で同じホームだった。


 まだ続くのかよ・・・

 もう疲れたんだけど、僕



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