独白形式ならではのえぐみとおどろおどろしさ

 夜ごと悪夢に苛まれる女学生と、その悩みの相談を受ける若い男性教師の物語。

 雰囲気バリバリのホラー、あるいはスリラーです。
 世界観というか空気感というか、明治・大正浪漫的な女学校の雰囲気がものすごい!
 本文からバリバリ滲む、この濃厚な女学生成分がたまりません。ものがホラーだけになお良いというか、「現代ものでは味わえないホラー感」を浴びせてくれるお話。

 魅力はやはり文章というか、「女学生自身の独白」という形式そのもの。
 本文がそのまま彼女の発話であるがゆえに、その語彙や言い回しがそのまま世界観を表現していて、読むだけで物語に浸れる心地よさがあります。

 また同様に、そのために彼女の対話相手である、若い男性教師の視点で物語を追っていくところも。
 作中世界に実在する人間としての観測者の、このPOV的(主観視点的)な臨場感が最高でした。

 でもなにより好きなのは、やっぱり最後に明かされる全容の、そのなんとも言えないえぐみやおどろおどろしさ!
 道具立ての巧さに語りの妙と、いろんな要素がバリバリ効いている作品でした。