第22話【運命!?】
父と待ち合わせをして、近くの喫茶店に入った。
そこで、これまであった事を全て話した。
旅をしようとしていた事。
友達と起業しようとしたこと。
持ち逃げされたこと。
家賃が払えず実家を追い出されたこと。
職場を逃げ出したこと。
そして今は、友達の家に住んでいる事。
ついでに無職ということだ。
父は何も言わず僕の話を聞いた。
そして口が開く。
「1度だけ助けてやる。だけどもう大人だ。しっかり地に足を付けなさい。」
「助けてくれる?」
「借金は自分で返しなさい。その代わり家を借りてやる。」
願ってもなかったことだった。
家を借りるときの連帯保証人に父がなってくれるだけでなく、最初の資金も出してくれるという。
「今すぐ仕事を探し、家を見つけなさい。」
「はい。」
父とそう約束をして、後日会うことになった。
父とあった3日後には家を見つけ、仕事も決まった。
仕事は、また日雇い労働だ。
家賃を支払って行かないといけないので、取り合えず繋ぎのつもりだった。
里穂にお礼を言って家を出る。
「今までありがとうな。家賃も払わずにごめん。」
「出世したら10倍返しだよ!」と笑いながら言われた。
「わかったよ!」と笑いながら答えた。
初めての1人暮らしに頑張るぞ!と気合が入った。
そして、数か月振りに千秋にメールを送った。
「1人暮らし始めた。彼氏できた?」
「うそ!なんで?いや、いないよ」
「あれから色々あってさ。今度会って話そうよ。」
「やっぱり、上手く行かなかったんだ。分かった。」
こうして、千秋との約束の日。駅近くのファミレスに入った。
「あれからさ、裏切られちゃってさ。」
「それで、どうなったの?」
「借金だけが残って、もう連絡もつかない。」
借金の総額や、誰から借りたかを説明した。
「友達から?そんなにあるんだ。」
そして、なぜ家を出ることになったのかを説明した。
「なるほどね、それでお父さんが助け舟を出してくれたんだね。」
「そういう事です」
「また2人でがんばろうよ!」と満面の笑みで僕に言った。
「いいの?また一緒になってくれるの?」
「私は、逆に嬉しいよ。普通の生活に戻れるんだって思うと。」
「借金あるんだよ?」
「そのための2人じゃんか!一緒に返していこうよ!」
「ありがとう」としか言えなくて、僕は泣いてしまった。
こうして千秋と寄りを戻し、半同棲状態となった僕らの恋愛は順調そのものだった。
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