第20話【寮生活】
僕を含めて男6人が住んでいる。
もちろん相部屋だ。なぜなら部屋は2つしかない。
1つの部屋に2段ベッドが1つあって、新人は床に布団を敷いて寝る。
3人で1つの部屋だ。
でも文句は言えない。
家もなければお金も無い、そんな僕にとっては屋根があるだけで本当に感謝しなければならない。
しなければならないのに・・・。
なぜ数あるルールの中で抜粋し、ルールを書き出したかというと嫌なエピソードがあったからだ。
まず【冷蔵庫に入っていて、名前が書いてない物は皆の物】
新人の僕はそのルールを知らなかった。
外出先から帰ってくると、僕の買っていたプリンやジュースなどをみんなで食べていた。
最初は僕の物だと気が付かなかった。
が、冷蔵庫を見てもなかったので先輩に聞いたところ【ルール】があることを知った。
いや、そのルールは最初に言えよ。と腹が立った。
次に【部屋の掃除は気付いた人がやる】
男ばかりの生活で誰もやらない。誰もやらないから僕がやる。
僕しかやらないし、僕が来るまで何もしていなかったのだろう。
落ちない汚ればかり。
掃除しては汚されるの繰り返し、家政婦じゃないんだぞと何回も思った。
特にトイレの便器に大便が付いてるのが嫌だった。
自分だけの家ならまだしも、共同で使うんだぞ。
次に【ゴミ出しは最後にゴミを入れパンパンにした人が捨てる。】
これは、もう小学生みたいだった。
以前、袋詰め放題の野菜売り場で❝レジまで袋に入っていればOK!❞というのを見たことがある。
神業でタワーの様に積んでる人もいたが、中には「それはアリなの?」という技まであった。
それみたいにパンパンのパンパンでビニールが裂けるほどに皆詰め込んでいく。
みんなゴミ捨てが嫌だからだ。仕方がないから毎回僕がゴミを出す。
最後に【お風呂を貯めるのはいいが、出るときにはお湯を流して洗って出てくる。】
なぜか、このルールはみんなが守っていた。
しかし、問題はそこじゃなかった。
とにかく小便くさい。誰かがしている。もしかしたらみんなしているかも。
そして水が流れていく排水溝にずっとコバエが数十匹飛んでいる。
退治しても次の日には飛んでいる。
これがどうしても気持ち悪かった。
とまぁこんな寮生活を送りながらも、なんとか耐えていた。
これが寮生活をして10日ほどの話だが、1か月も経たないある日。
僕はこの会社を辞めた。
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