青を走る

 身支度をして外に飛び出す。今日は友人と砂時計塔へ行く約束をしていたのだ。

 世界から大人が消えてからだいぶ経つが、まだこの自由さに慣れない。ショッピングモールから好きなものを盗んでも何も言われないし、ゲームセンターで朝まで遊んでても怒られないし、勉強をしないと叱る教師もいない。こんなに自由でいいのかな、なんて思うくらい自由だ。

 空を見上げてみて、その青さに笑顔が溢れる。建物の奥に見える砂時計塔は、僕ら少年たちを誘惑する魅力がある。心が躍る。

「おい、早く行こうぜ」

 ぼうっとしていたらもう友人がすぐ後ろまで来ていたらしい。僕は驚いてから、すぐに元気よく「うんっ」と返事をして彼を追いかけた。

 砂時計塔に行った友人たちが戻ってきていないのは気になるが、彼らを見つけるためにも、それから僕らの自由を満喫するためにも、僕らは走る。


お題「砂時計/空」

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