第7話

「夏だー!海だー!」


 と三村が声高らかに騒いでいる。まぁ、俺も海に来たのはとても久しぶりだった。

 なんとも、今日は男3人の海だ、もう一人は


「三村うるさい・・・・・・鼓膜こまくしぬ」

「いいだろ?はしゃいだって、蒼太だってあんなに嫌々だったのに、水着まで持ってきて遊ぶ気満々じゃねぇかよ」

「・・・・・・うるさい」


 この、小さいけどツンデレで唯一彼女持ちなのが、八雲蒼太やくもそうた

 蒼太の彼女は白河と同じクラスだった気がする。


「まぁ、せっかくきたし、とりあえず楽しもう」


 せっかく海に来たのに、さっきからいがみあっている2人に呆れる。


「じゃあとりあえずは・・・・・・」

「まずはナンパだろ」

「はっ?」


 思わず、俺と蒼太は声が出た。

 確かに、海に来たらナンパというのは一つあるかもしれないが、俺たちは高校生で、純粋に遊びに来たものだと思っていた。


「何言ってんだ?三村」

「なにって、ナンパだよ!ナ・ン・パ」

「いや、聞こえたけど、やるんだったら1人で行ってこいよ」

「そうだよ、ってか僕、彼女いるし」

「そんな、悲しいこと言うなよぉ〜、可愛い可愛い心くん泣いちゃうぞ?」


 正直勝手に泣いとけと思った。あと顔が少しだけウザいので、やめてもらいたい。


「ていうか!雄星は別にいいだろ!」


 いきなり照準を俺に合わせてきた。蒼太はダメだからって俺を付き人にしないでほしい。

 蒼太は自分から照準が外れたことが分かり、先に浮き輪を持って海の方に歩いて行った。


 蒼太のやつ、自分はもう誘われないからって・・・


「おい!聞いてんのか〜?」

「分かったよ!しつこいなぁ、一緒に行ってやるよ、そのかわり後でなんか奢れよ・・・・・・」

「よっしゃ!じゃあさっそく・・・・・・」

「いや、その前に海とかで遊んでからにしよう、それも条件」


 最初は、今すぐにでも行きたいっ、という感じだったのだが、条件をつけると、三村はあっさり呑んだ。


 本当はナンパなんてめんどくさいことになりそうなので、やりたくない。三村がしつこいから仕方なくだ。


 熱い砂浜に足跡を残しながら、冷たくも綺麗な海に入る。


「おい!しょっぱい!しょっぱいぞ!」

「俺あんまり得意じゃないんだよね」

「なんか、砂が足にニュルニュルする感覚が気持ち悪い・・・・・・」


 そう言ってまず第一に海に入った感想を1人ずつ述べた。

 そのあとは、貸出のビーチボールやかき氷、フランクフルトや焼きそばなど夏ならではと言った物を食べた。

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