　さて、真（ま）丘（おか）家の男の宿命はもう一つある。

　どんなことかと言えば、生死にかかわる女難の相に比べたら比較的可愛（かわい）らしいもの。でもあくまで比較的。

　どんな宿命かというと──。

　超探偵体質だ。

　なんだよその体質、と思われるかもしれない。うん、簡単に言うと大変事件に巻き込まれやすい。なんていうか一緒に豪華クルージング船に乗り込みたくないとか、孤島の別荘に招待されたくないとか。

　というわけで、今俺の目の前には──。

　苦（く）悶（もん）の表情を浮かべ、息絶えた学年主任の松（まつ）岡（おか）先生がつり下がっていた。

　ぶらりと揺れる足元、脚立の上には並べられた靴があった。

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