第13話 地下施設

「R二ベッド、あれだ。あの櫓の上が彼女、佐半ルウスのベッドだ」と医師は言った。

 彼女は黒の道で亡骸となり、それを黒石の箱の中に納められた。

 それをここ地下施設まで運んで来たのだった。関係者は喪に服すよう出来るだけ静かに、黒石を櫓に複数人で持ち上げていった。

 櫓の最上部に敷かれた木製扉の上に、ルウスは安置された。安定して置かれた事を確認すると、関係者は櫓を後にした。

 地下施設専用の出入口格子戸を、静かに大人たちは出て行った。

 この施設が何を意味しているのか、彼らは語らないが、「希望」であると信じていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る