不思議な力のピアノの音色、優しさと白薔薇の調べをのせて——

 突然の出逢いを果たした、主人公の三重野紫苑と夢喰いのあやかしである獏。
 どうやら彼はとてつもなく弱っているようで……。

 あやかしが視え、少し不思議な力を持つ紫苑は幼い頃のトラウマで大好きなピアノを遠ざけていた。
 彼女が幼馴染の薬屋で、偶然見てしまった悪夢を食べた獏。聞けば紫苑はその白い獏にとり憑かれてしまったらしい。

 そんな不思議な出逢いから始まるのは、まさにピアノの演奏会のような優しくて癒されるストーリー。

 彼女のために奔走する、本当は心優しい獏——アルバと。
 その獏に次第に心惹かれていく紫苑。

 幼馴染の魔女の男の子雪火、彼の元に棲まう九尾。
 不思議な退魔師や、人と共存している数々のあやかし達。個性的な彼らに囲まれ、時にシリアスな場面に襲われながらも、誰もが優しい気持ちになれるような各章の幕引きは、作者さんならではの素晴らしい手腕。「あっ、この名前知ってる!」と、あやかしの登場にはニヤリとしてしまう場面も。

 一歩一歩、誰もがドレミから覚えていくピアノの演奏のように、互いを思いやり寄り添っていく紫苑とアルバの関係は必見です。

 このリサイタルはまだ始まったばかり!
 奏でられる二人の、そして皆の調べにアナタもきっと夢中になるはず。

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