第42話 魔石を求めて
魔石の購入を諦めた俺は今、様々なダンジョンを攻略し始めた。
とは言え、属性付の魔石の入手は基本的に難しいと聞く…なんでも魔石は”異世界”での需要が高く――それはもう高値で取引されるらしい。
ただ、困った事に―――理由はそれだけではない。
残念な事に無属性の魔石は”何でも”変換されるのにも関わらず、属性付の魔石は俺が倒し、ドロップした者でなくては意味を成さない様である。
「はぁ…色々と制約が多すぎるだろ…」
『ですが、裏を返せばそれだけ強力なアーマーが手に入る事も事実です…現状では全ての”ダンジョン”を攻略出来る状態にありません。』
だからこそ、こつこつとダンジョンでの攻略を―――果てない魔石集めをしなくてはならない訳だが――
「にしても、やっぱり色々とやり辛いな」
俺は後ろを付けて来る”冒険者”の反応を確認すると思わずため息が零れる。
解っていた事ではある。 俺みたいな”異端者”が歓迎されない事については――しかし、こうもほとんど毎日後を付けられては鬱陶しい事この上ない。
しかし、相手はこちらの様子を伺うだけで手を出してくる気配はない。
ダンジョン内は”ギルド”の規定が通じない――と言う事は、ほとんど無法地帯に近い状態である。
だからこそ、この世界では――俺達の様なソロ冒険者は”略奪者”達の標的となりやすい。
「で? 反応は?」
『様子を見ている――という状態でしょうか。 明確な敵意を検知していますが、それでも何かを仕掛けてくる気配はありません』
「こっちから手を出すのは?」
『相手は録音用の魔具を所持している可能性があります、あまりおすすめは出来ません』
もうすこし、このアーマーにそれなりのものが付いていれば別なのだが、如何せんレッグのローラーは最大速度で運用すれば2時間でバッテリーが切れてしまう。
おまけにフル充電までに30分を有する―――あんな連中を振り切る為に使う事はあまり得策では無いと思っている。
なんせ、いざという時に向こうは”帰還”できるが…俺はダンジョンを完全に攻略する以外に変える方法は…元来た道を戻るのみ。
余計な戦闘は避けたいという訳だ。
「はぁ…めんどくさ」
”略奪者”それは冒険者の亡骸や、野良の冒険者達を襲って楽しんでいるような胸糞悪い連中だ。
しかし、何故俺はそれを判断できているのか―――それは以前ギルドの秘密情報を入手したときに同時に入手していた”あるリスト”のお陰である。
略奪者となる者は隠蔽や気配を消す能力に長けており、何食わぬ顔で普通の冒険者の後を付いてダンジョンに侵入してくる。
何故ならバツ付でダンジョンに侵入出来ないブラックな連中が多いからだ――が、意外とダンジョンの監視はザルなのであいつらの力を持ってすればすぐに侵入されてしまう。
『そんなに鬱陶しいのであれば、ビーム兵器で両足を切断しておきましょうか!?』
『止めておきなさい。 ブイ…あなたのビームは人間には途轍もない毒となります―――生かしておけば不測の事態を招くかもれません――やるなら徹底的にです』
『なるほど。 まだ灰にする位の機能はないんですよねぇ~! あ~あ! 暇だな~!』
なにやら物騒な話をしている連中は放っておいて、本気で何か対策を打っておかないと後で面倒な事になりそうな気がする。
「仕方ない…カイネに相談してみるか」
俺は自分宛てに来ていたメッセージに目を通す。
”何か困った事があれば俺に相談してくれ”
気付いた時にはメッセージを送信していた
【ちょっと相談したい事があるんだけどいいか?】
シンプルなメッセージだ。
『『あ、今は…』』
「え?」
翌日、このメッセージを送った事をひどく後悔する事になる。
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