第27話 VSダンジョンボス?

あれからしばらくして、何度かモンスターを狩ってみるもののアーマーは一度もレベルアップする事はなかった。

気付けば、巨大な両開きの扉の前に到達していた俺は思わずつぶやく。


「これ、攻略したらダンジョンの入り口に皆強制送還されるんだっけ?」

『はい。 間違いないかと』

「はぁ、結局なんにも収穫はなかったか…んじゃいくか」

『了解。 戦闘モードで待機致します』


ギィ……

重い扉に手をかけ中の様子を伺う。


「あれ? いない?」

『スキャン開始――――反応がありませんね』


……暫く中の様子を伺うが、静かすぎて不気味に感じる。


「居ない…なんて事ないだろう?」


と言うか、ここのダンジョンのエリアボスもこういう部屋みたいな形をしていたんだろうか? 

事前情報とは全く違う様な気もするが…


「な、なぁ? ここのエリアボスって同じフィールドでの戦い。 じゃないのか?」

『はい。 情報によれば”巨大なスライム”と聞いていますが』

「だよな。 けど、こんな所にスライム居るか?」


巨大なスライムと聞いただけでもゾッとするものを感じるが、こればかりはそうじゃないと感じる自分が居る。


ビー、ビー、ビー!!

すると突如警報音が鳴りびく。


「なんだ!?」

『気を付けてくだい。 頭上―――反応があります』

「頭上!?」


俺はすぐに攻撃態勢げ移行し天井にアサルトマシンガンを構える。


『グガガガガ――――グググ――ギャギャギャ!!!』

「なんだこいつ!?」

『データ照合。 エラ――リストに存在しないモンスターです』


蜘蛛の様な形をしているが、人間の様な手足と至る所に生えた瞳の様な者がじっと俺を睨みつけ気味が悪い。

極め付けはむき出しになった大きな一つ目がこちらを品定めするようにぎょろぎょろと動く姿だ。


「レアモンスター…じゃないよな絶対」

『……はい。 モンスターと言うには』


あまりに不気味な形をしている。

中心の大きな眼玉を起点に至る場所へ生えた、気色の悪い人間の様な手足。

そこから垣間見える無数の瞳の様なもの。


「最大火力でぶっ飛ばす、Z! グレネード装填!!」

『了解。 グレネード・1・2・3装填完了。 いつでもいけます』

「ファイア!!」


ズガンッ!!!!

発射された弾頭が目玉に直撃する。


『グギャァァァァ!!!! hぐhgdgふfdghdfghfすfhgfぢうgsdh』

「ぐっ!?」


凄まじい叫び声だ。 

まるで人間の叫び声と獣の叫び後を混ぜたような気色の悪い声を発していたそれを見て思わずその場に立ち止まる。


『攻撃きます―――注意してください』

「くそっ!! 効いてはいるのか!?」

『はい、確実にダメージは入っています。 ですが…』


グツグツグツグツ――えぐられた箇所が次第に元通りになっていく。


「再生!? ざけんな!! あんな気味の悪いもん、様子見なんてしてられるか! 全弾グレーネード装填! そのままフルオートモードへ移行! このままつっこむ!!」

『了解―――こちらで有効な部位をマーキング致します』

「頼んだ。 こいつはこのままにしておくと危険だ」


俺の勘が、いや…何かがそう俺に警告している。


「いくぞっ!!」


ズガンズガンズガン!!


俺はすかさず中心の眼玉へグレネード弾を三発お見舞いする。


『ぎぃがいうがyがうあyがうやがゆあがいや!!』

「くそっ、気持ちわりぃ! わめくな!」

『再装填完了。 攻撃来ます―――』


ガンっ!!!

迫りくる巨大な腕が俺の腹部を捉える


「ぐっ!!!」

『ダメージ13%。 残りAP72%です―――』

「なんつー速さだ!?」


気色の悪い不規則な動きと圧倒的機動力、おまけに攻撃力まで高いと来た。


「フルファイア!!」


ズガンッ、ズガンッ、ズガンッ!!


『#$%$&#$%&%&&#&%%#&’’%』

『ダメージ確実に蓄積しています。 まずは相手の機動性を奪いましょう』

「あぁ! そのつもりだ!!」


ズガンッ、ズガンッ、ズガンッ!!

次に目玉を支える腕に向け俺はグレネード弾をお見舞いしてやる。

効いている!!


ドンっ!!

天井からバランスを崩したそいつは地面でゴロゴロと暴れまわる。

だが、相手をみるからにすぐにでも腕は再生しそうだ。


「くそっ…だが、弱点は何処だ!?」


弱点と言う弱点―――核となる部分が―――目を凝らすとわずかに中心部分から紫色に光った何かを発見した。

あれは?


『恐らくアレが核です。 グレネード弾の残弾5―――このまま戦闘の継続は好ましくありません。 対象の処理を』

「仕方ない! 接近する!!」


グレネード弾を継続でお見舞いしつつも俺は中心の眼玉を目指し駆けていく―――そして。


「よし、これ――――で!?」

『ぐぉぉぉぉぉぉ!!!』

「こいつ!? 口が!?」


目玉に近付いた瞬間の事であった、人間の様な歯がむぎだしになったそれが現れると―――


ガンッ!!!

「ぐっ!!!! いてぇ!!」


俺の身体を噛み砕こうとそいつは食らいついた。

流石の俺も久々に感じる痛みに思わず声が漏れる


『ダメージ30%!! のこりAP42%―――ダーメジ持続―――これ以上の戦闘は危険です!』


凄味を増したZの音声を聞いて現実に引き戻される。


「だったら。 大好物の鉛玉を食わせてやるよ?」

『!?!?』


丁度アサルトマシンガンを持った腕が相手の口内にしっかりと入っているのを確認した俺は手に持ったアサルトマシンガンを手放した。


「もう遅い。 アサルトマシンガン…強制解除!! よかったなぁ? ちょうどこっちの手が空いてて…目薬もさせそうだ。 おらぁぁぁ!!」


俺はマウントされたアックスを取り出すと相手の眼玉に向けお見舞いした。

ドゴンッ!!


「ぐふっ…」

『いだぁいぃあいぁいぁいぃあいぁいぃあぃあぃ!!』


ピッ…


『!?!?』

『アサルトマシンガン強制解除。 バースト―――』


ピピピピピピ!!!!

何度も鳴り響くアラート音…そして――


「木っ端みじんだな?」


ドゴ――――ン!!

凄まじい爆発が発生する。


「ぐはっ!!!」

『ダメージ15%。 残りAP―――13%…起動終了』


ピー、ピー、ピー、ピー、ピー、ピー。


「あ、やべ――――」


警告を促すアラート音と共に俺の眼の前は真っ暗になった。

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