第8話 どんな世界も異端の一人や二人や三人…いや多いわ!

妙に異彩を放つ巨大な鉄の門が音を上げながら開かれる。

ギギギギギ!!! ガタンッ!!

やたらと厳重―――というよりも、まるで先程までの建物とは訳が違う。


意味不明な光沢を帯びた設備に、妙に近未来的姿をした作り。

おまけにその場で訓練をする者達は実際のモンスターを相手に訓練を行っているではないか。


「えっと、これって試験場だよな?」

「そうだよ! ここは”異端者の間”世界の理から外れた覚醒者が集まる場所なんだ!」

「い、異端者?」

「そ・れ・は! この先の扉の向こうに居るおじさんにきいて!」

「おじさん?」


すると母さん達3人は扉を前にピタッと動かなくなった。

まるで俺のいる場所に行くと何かが起こる様な素振りで…


「あの~…」

「「「いってらっしゃ~い!」」」


ガタンッ…

目の前の扉が勝手に開閉すると、次の瞬間!!

俺の立っている床が動き始めた。


「おぉぉぉぉぉぉい!!!」



ガチャン。



――――――――――――――――――――――


パッ!!


「まぶしっ!!」

「おいおい、こりゃなんの冗談だ!? お前ら!?」


すると目の前には露出の多い鎧に身を包んだ”燃える様な赤い髪の褐色女性”が、見慣れない鋼鉄の床の上にパイプ椅子を置いて腰かけていた。


「あ、あ~!! 今からお兄ちゃんには異端者試験を受けて頂きます!」


突然部屋に響いて来た声に俺はビクッと飛び跳ねる。

これは? 優香の声!?


「で、そこにいる人の名前は”カイネ”さんって言って! な、な、なんと! Aランクの冒険者です!」

「え、え、Aランク!?」

「おい、御託はいい優香。 それに…未だBランクなんかでいそいそと影を潜めてる親子共!! 次は何の用だ!! 俺をこんな所に呼び出して、次は何をしようってんだ!? あぁん?」

「「ど、どうも~」」


め、滅茶苦茶怖い。 目付もそうだが、引き締まった身体に所々傷が入った肌…そして何よりも…


「あん?」


俺を見る目が怖い。


「こらそこ!!! 睨まない!! お兄ちゃんがびっくりしているでしょう?」

「お、お兄ちゃん? お、お前ら…そいつはダンジョン発生フィールドに巻き込まてたって…」

「え~。 お兄ちゃんはなんと、そのダンジョンを見事攻略し!! この場に生還致しました! パチパチパチ~!!

「おぉ、そうか…それはよ―――くねぇよ!! はぁ?! おい!! あれはエクストリームランクのダンジョンで閉鎖されたもんだろう!? 馬鹿言うな!? 俺はあそこにいったんだぞ!? こんな餓鬼が攻略できる訳―――」

「まぁまぁまぁ。 そこでカイネさんにお願いが!」

「お願い?」


すると何故だろうか、カイネと呼ばれる女子はみるみるうちに額に汗をかき始めた。


「おい、ちょっと待て! この場所…この施設!! お前ら!!」

「お兄ちゃん。 異端者っぽいからさ~試験よろしく!! じゃ! そういう事で! 1時間後にロビーで!」

「「それでは~!!」」


ぶちっ!!!


「嵌めやがったな!? くそがぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「…………すんません」

「……………もういい。 大体は理解した」


非情に気まずい時間が数分程続いた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


「さて、仕方ない。 まずは俺の自己紹介から。 俺の名前はカイネ! 冒険者ギルド”レッドスコーピオン”に所属している”Aランク冒険者”だ」

「レ、レ、レッドスコーピオン!?」


レッドスコーピオンと言えば、あの世界ランク”TOP10”に入ると言われたあの伝説の!?


「まぁ、ちょっとは有名だが。 お前の両親や妹程じゃねぇ」

「いやいや…そんな筈」

「…いや、まじで」

「えぇ?」


初めはお世辞とばかりに思えていた言葉も、あまりに真剣な表情でそう告げるカイネさんを見て俺は色んな疑問が頭をよぎる。


「ごんっ、えっとそれで自己紹介なんですけど。 俺の名前は不死川 創輔ふしかわ そうすけっていいます。 よろしくお願いします! カイネさん!」

「年も、そんなに離れてねぇんだ…カイネでいい」

「…う、うっす」



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