第2話 チューリアルが辛い

夢を見ていた。 

それは俺の幼馴染の少女の夢だ…幼少の頃からいつも一緒にいた少女。

名前を”龍炎寺 真奈りゅうえんじ まな”容姿も整っていて、プロポーションも完璧、おまけに勉強まで出来る少女だった。


「なんで…なんでダメなの!? 私達いつも一緒だったよね!? ねぇ!? 創輔」

「駄目なんだよ。 俺とお前はもう…一緒に居れない。 だってそうだろう? お前はずっとゼロスキルの隣にいる”女”として見られちまう。 だから俺…止めるよ。 この学園を」

「まだ、まだ希望はあるよ!! ねぇ! 創輔!! 創輔!!」

「これ以上…俺を苦しめないでくれ」

「っ……創…輔」


16歳の春。 ”スキル覚醒の儀”を終えた俺達はその日を最後に一度も会うことは無かった。

真奈…済まない。


ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…

何か機械音声? の様なものが聞こえる。


『インストール完了。 スキルデータ確認―――――完全消去――――遺伝子の操作を開始――――復元。 ステータスデータ削除――――生命力の低下―――死亡を確認』


え? 死んだのか俺は?


『全ての条件を達成。 これより、チュートリアルダンジョンの生成を確認。 難易度”ハーデス”。 チュートリアルモード起動――――アーマー装着』


ガシュン!!!

目の前は真っ暗になった。


「ん? 死んでない!?」


というかなんだこの景色は!? 真っ暗だ!!

周りに何も見えない…というか息苦しい!!



ピピピピピピ―――キュイーン!


『おはようございます。 装着者ファクター――――私の名前は支援システム”Z”。 ゼットと呼んでください』

「ぜ、ぜっと?」

『はい。 これより、装着者ファクターに覚醒した貴方様の最終試験を行います。 とはいえ、チュートリアルの様なものですので――――そこまで身構える必要はありません』


いや、それよりもまずはこの何処からともなく響いてくる声はなんだ?


「えっと…上手く事情が…」

『アクセス――システム起動。 これより、チュートリアルシークエンスを開始致します。 装着アーマー”レーヴァテイン”それでは、これより―――前方の熱源体の排除をお願いします。 攻撃した方がよいと、私は警告します。 死にたくないでしょう?』


パッ!っと目の前に映像の様なものが現れた、いや?違う? これは俺か?

手を見ると明らかに異様な漆黒の鎧を身にまとっている。


「ちょっと待ってくれ。 せつ――――」

『熱源体接近―――』

『ガルル!!!』

「って待て!? 犬型のロボット!? ぐはっ!!」


何か青いオーラを纏った犬型のロボットは俺の腹部に猛烈な突進を繰り出した。

バコッン!! ガラガラ!!

痛くはない、ただそれなりに揺れたせいか頭がクラクラする。


『AP3%減――――のこりAPは97%です』

「え、エーピー?」

装着者ファクター。 APとはアーマーポイントの略です、アーマーポイントがゼロになった場合―――現在使用しているアーマーは24時間使用不可となります。 よって、装着者ファクターは普通の人間と化し―――ここで死亡確定します』

「ま、まて。 死ぬって事!?」

『はい。 あくまでも装着者ファクターはアーマーを纏っている状態でのみ、超人的な能力を発揮できます。 及び、現在使用可能とされるアーマーはこちら1機とのみとなります。 頑張ってください』

「まじかよ…あぁ~!! なんだかわからんが、攻撃すればいいんだろう! 攻撃すれば!! うぉぉぉぉぉ!!」


ガタンガタンガタン!!!!

力加減が上手く出来ない俺は地面を砕きながら途轍もないスピードで犬型ロボットに接近した。


「食らえ!! 普通のキック!!」


バゴンッ!!!

メリメリメリ!!!


「へ?」

『ギャオン!!』


チュド――ン!!!

犬型ロボットはとんでもないスピードで岩の壁に叩きつけられ、なすすべもなく爆発した。


『目標の排除を確認――――経験値を獲得。 アーマーレベル上昇』


――ピコン!―――

おめでとうございます、アーマーレベルが2へと上昇しました。

ポイントの振り分けをお願いします。


アーマー名:レーヴァテイン lv2


――振り分けポイント+4――

初回チュートリアルガイド付き


AP:15000 ポイント1毎に100上昇

EN:150  ポイント1毎に1上昇

攻撃:150  ポイント1毎に1上昇

覚醒攻撃:150 ポイント1毎に1上昇

防御:150 ポイント1毎に1上昇

機動力:150 ポイント1毎に1上昇


――――――――――――――――


「なんだ、これ…」


見た事のない表記に俺は唖然とするばかりであった。


『ステータスと言えばいいのでしょうか? そのようなものです』

「ステータス…という事はこれもスキル!?」

『違います』

「え? じゃあ、特殊能力」

『違います』

「え? へ?」


じゃあ、この力は一体!?

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