「分かってるけどさー、家でする作業は退屈!」
むくれる彼女を視界の端に収めながら、俺は、準備運動を早めに切り上げた。
「まずは、あっちに行こう」
俺は、有名な建築家が作ったというモニュメントを、指差す。
「えー、ま、君が行きたい方向言うの珍しいし、着いて行くか!」
着いて来てくれないと、一緒に撮影に来た意味がないだろ。それに……。
「走るぞー! おー!」
つまらなさそうな態度はどこへやら。彼女は、陽気に俺を追い抜かしていった。
これが、一時間前。
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