14「余裕があってムカつくわ」

 猫たちが消える近いうちに訪れる未来に落ち込む咲。そんな咲を俺の妻、友梨佳が慰める。でも友梨佳さん、俺と咲をくっつけるってどうなのよ!?


「龍斗は最高の男だわ」

「そりゃあここには男は龍斗しかいないものね」

「不満なの?男らしくて優しくて話をちゃんと聞いてくれるわよ?」

「包容力があるって言いたいの?あんたたちホントバカップルね」

「咲は本当に興味がないの?オトコってやつに」

「!!」


 咲の表情が変わった。


「バカいわないでよっ!もうそろそろ怒るわよ!」

「冗談でこんなこと言わないわ、龍斗をシェアさせてあげるとか上から目線でもない」

「龍斗はよくこんな女選んだわね、かなり頭がおかしいわ」

「おかしいくらいいいじゃない?幸せなんだもの」

「もし、仮によ?あたしが龍斗に手を出して、龍斗があんたが捨てられたらどうするの?」

「捨てられない自信があるわね。もっといえばできないかしらね」


 はい、もし元の世界に戻っても無理です。M男は完全に調教済みです。


「それとあたしがこの男を好きになるとでも?」

「えっ?とっくに好きでしょ?それと時々わたしたちの行為を見にきてるのにも気がついているわ」

「!!!?」

「う、うそっ……!?」


 考えてみればこんな刺激の少ないセカイで覗きにこないはずなんてないよね。咲もやっぱりそういうこと考えるんだ。


「咲。龍斗をあなたがこんな風にさせたのよ?」

「あ」

「……」


 友梨佳が握った俺のムスコを咲がガン見している。そのまま俺は押し出されて咲に押す形で体をくっつけた。


「意地を張らないで気持ちに素直になりなさい。不安とかそういうの全部忘れさせてくれるから」

「……」


 咲がぎゅ~っと俺の腰に手を回して抱きついた。

 俺はここに来る前、咲が苦手だった。俺たちの出会いは保育園、そのころの咲のことはあまり覚えていない。初めて印象に残った時の咲は騒がしい女子のグループの一人だった。その印象が高校時代まで続く咲の印象だ。騒がしくて、ワガママで理不尽。そのくせ風見鶏のように多数派や発言力の強い人間の意見とは食い違わない。タチの悪い全く相いれない人間だと思った。

 そんな咲が勉強を教えろと言ってきたのはただの災難だった。そんな勉強会の三人がこのセカイに閉じ込められた時は神を恨んだ。


「緊張してる?」

「き、緊張なんて……」

「時間はいくらでもあるんだから焦らなくても大丈夫」

「……話でもしよっか」


 さんざんしてきた思い出話も俺と咲だけというのは初めてだ。俺からみた咲の暴君っぷりを盛って話してやったらギャーギャー騒いでた。おもいっきり煽ってやったが元気が出たようでなによりだ。俺も陰キャっぷりをバカにされて反撃された。

 段々と話は落ち着いたものになって口数も減り、雰囲気も出てきた。何度か肌を触れさせ手を繋ぐ。


「……初めてなの」

「知ってるよ」

「余裕があってムカつくわ」

「よーしがんばっちゃうぞぉー」

「ちょ、え……あっ……」


 思いっきり奉仕してやった。それと色々なことで責めてやった。耳元で囁いたり自分ではできない刺激や不意打ち的な責め方をした。咲は目がうつろになってろれつが回らなくなるまでほぐされた。


「俺は準備ができてるけど?」

「……」


 咲は小さく頷いた。

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