スフィンクスの難問とユダヤのタルムード

 スフィンクスが旅人に出したという有名な難問が有ります。


「朝は四本足、昼間は二本足、夜は三本足…この生き物は何だ?」


 これは有名になりましたね。答えは『人間』。生まれた時は赤子でハイハイ歩きの四本足。長じると二本足で歩いて、老齢になると足腰が弱り杖をつくから三本足。だから人間。



 これと似ていますが段階が多く『男の人生』と言われた諺があります。

 ユダヤに伝わるタルムードです。聞くと納得な言葉かも知れませんよ?



 タルムードによれば男の人生は7つの段階からなると言う。

 1、一歳は王様。皆が集り、機嫌を取ったりあやしたりしてくれる。

 2、二歳は豚。泥の中を走り回る。

 3、十歳は子山羊。笑ったりはしゃいだり駆け回る。

 4、十八歳は馬。体も大きくなり自分の力を見せたがる。

 5、結婚してロバ。家庭という重荷を背負ってとぼとぼ歩かねばならない。

 6、中年は犬。家族を養う為に人の好意をせがまないといけない。

 7、老齢は猿。子供っぽくなり…それにもかかわらず誰も関心を払ってくれない。


 言われてみてはっとしませんか?

 世の中の格言は男性が主眼に置かれている事が多いですから女性からすると当てはまらない事かもしれませんが、男性は連綿とした格言に温故知新を感じたかもしれません。


 日本でも「人生は重き荷を担いで遠き道を歩くが如し」と言われる言葉が、タルムードのロバのとぼとぼ歩かねばならない…に匹敵すると思いますし、老齢になると猿の様になるのに誰にもかえりみられない様になってしまうと言うのは、大陸の菜根譚に。

 「老齢になったり落ち目になった人程手厚くしなければならない」と言う気遣いを示した格言も存在しています。



 スフィンクスも難問で、老齢になれば杖をついてでも歩かねばならないと言う老いの苦しみを表していると思います。

 杖とは偉いものです。老齢の不自由を肩代わりしてくれます。


 タルムードの7つの段階にしても、もし良き理解者が得られたなら「嵐で荒れた海原に浮き袋を得る」という諺にも通じ、世の中が少し良くなるのではないでしょうか?

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