ヨルシカLIVE TOUR2021盗作 ライブレポ

SAM-L

東京公演1日目 前半

 ——ホールの扉をくぐると、そこには草原が広がっていた。


 10月1日夕方6時半、外では雨が降り頻る中、開場後の東京国際フォーラムのホールに足を踏み入れた。

 そこでは爽やかな香りとともに小鳥の囀りや青草が揺れる音が微かに聞こえ、ステージ上のビジョンには草原に白い一輪草が一輪、はらはらと揺れていた。

 ヨルシカのライブならではの世界が、空気が、そこにはあった。



【はじめに】

 このページには良かった所だけでなく、僕の個人的な感想が多く含まれます。その点をご了承下さい。

 また、記憶が曖昧なため、間違いがあると思われます。

 語りは長すぎる為、半分ほどの長さにカットしてあります。全編はこちらのページにあります。

 ↓↓↓

 https://t.co/nTvKN4dPaS


【世界観】

 入場時に、『生まれ変わり』という短編小説が書かれた冊子が配られた。

 そこにはある田舎のバス停にて、主人公の女性とそこに現れた男の幽霊との話が描かれていた。

 幽霊は生まれ変わりを信じていて、前世で出会ったある女性との再会を待っているという。しかし、その待っていた女性というのが、この小説の語り手であった女性であると気づき、消えていってしまう。

 というストーリーで、これがライブの物語に直結する。


 ライブはn-bunaさんの読み上げる詩と曲の二つのパートが並行して進められる。

 詩と曲(セトリ)の直接的な繋がりはなかったように思えるが、ここは人によって解釈が分かれるかもしれない。



【メンバーについて】

 ・suis(Vocal)

 少し柄の入ったワンピースに緑がかった青色のボブヘアーだった。

 照明によって時々顔が見えたが、鼻が高く少し彫が深めの美人という感じ。

 拳を握ったりして全身で力強く歌っていた姿が印象的で、生歌は音源以上に表現が豊かで美しかった。


 ・n-buna (Guitar)

 ライブ開始後最初に登場した。

 黒いハットに黒いシャツ(センターにボタンがついたようなもの)を着ていた。

 太っているというわけではないが少し丸めの顔立ちだった。

 メインでサンバーストのテレキャスを使用し、ゴールドのストラト(会場では白に見えた)と昼鳶などではアコギも使っていた。

 激しめの曲の時にギターを荒々しく掻き鳴らす姿が印象的だった。


 ・下鶴光康(Guitar)

 お馴染みのセンター分けで、照明で顔が見えやすかった気がする。

 途中、ライブの中盤はアコギをメインで使っていた。楽しそうに弾いていた姿をよく覚えている。


 ・キタニタツヤ(Bass)

 席の関係で一番近くに見えたが、めちゃくちゃスタイルが良く、トレードマークの左右に分けた長髪を靡かせながら頭を振ってベースを弾いていた。余裕のある感じで時々こっち(客席の左端)をはにかみながら見てくれたのが嬉しかった。


 ・平畑徹也(Key)

 ステージの一番右奥で、時に滑らかに、時に荒ぶるようにヘドバンをしたり拳を振り上げてピアノを弾いていた。

 ソロの時にスポットライトが真上からスキンヘッドに当たって頭が光っていて、少し笑いそうになってしまった。


 ・Masack(Drums,Per)

 真ん中で赤と黒に分けた派手な髪色だった。席の位置的に姿はよく見えなかったが、安定感のあるドラムで、バスドラの重低音が終始心地よかった。ライブの中盤ではカホンやコンガなどを使っていた。





【セットリストとその感想】

 開演時間の7時が訪れると、一度ブザーが鳴り開演のアナウンスがあった後、沈黙の時間が少し流れる。


 再びブザーが鳴り、客電が落ちる。


 中央右手のピアノにスポットライトが照らされる。

 そしてその前の椅子に黒いハットを被った一人の男性が座る。作詞作曲・ギターのn-bunaだ。

 彼が語り始めると、ビジョンにもその文言と共に盗作をした男が本を読む映像が映る。


《語り一 追憶》——

 私が山を登り停留所に行くと、彼女は当たり前のようにそこに座っていた。

 彼女は百日紅の花を見ている。

 風に揺れて花が一枚散る。

 目眩のような既視感がする。


 優しい夏の匂いがして、私はこれが幼少期、夏の日の記憶であることを自覚する。

 私と妻とが過ごした故郷の夏の。


 思い出はこの身体を巡って往く。

 盗んだものが人格を作る。


 見て、聞いて、食べて、得て、施して、作って。

 その一つ一つが私自身を形成していく。

 我々の考え発する言葉は魂に依存する。

 忘れていた記憶、我々の考える魂。


 それはまさに、盗作である。

 —————————


 そしてサポートメンバーと共にボーカルsuisがステージに上がる。

 suisがステージ中央に立ち、楽器隊の演奏が入った後に一曲目が始まる。


《01,春ひさぎ》

 赤を基調とした色とりどりのライトと共に、イントロからベースとバスドラの重低音が心臓まで響き圧倒されていた。suisさんは拳を握り体を揺らしながら力強く、美しく歌っていた。その歌は普段イヤホンから聴こえるそれに限りなく近い。が、今、この瞬間に発せられたものであることに気づき感動する。n-bunaさんが荒々しくギターソロを弾く。ただただ格好いい。


《02,思想犯》

 この時はまだ、ただひたすらに演出や目の前のスピーカーから聴こえるバスドラやベースの低音に感動していてあまり記憶がないが、序盤の畳み掛けるような流れは素晴らしかった。

 n-bunaさんも原曲通りではないが所々でコーラスを入れていた気がする。


《03,強盗と花束》

 ベースやギターの特徴的なイントロから始まり、軽やかに曲がスタートする。

 曲の最初は下鶴さんがブラッシングをするギターの手元を気にして見ていた。

 A,Bメロでsuisさんの歌は音源に比べて少し苦しそうではあったが、低音ボーカルのパートを歌い切る。また、サビは特に迫力が途轍もなく、圧倒された。



《語りニ バスを降りて》——

 バスの扉が開いた。

「暑いね」彼女はそう言い、私たちは日陰へ逃げ込む。


 少し歩いた所に駅のホームがある。

 誰もいない無人駅のベンチに座って私たちはただ電車を待つ。


 そうだ、私はこの夢の続きを知っている。

 幼少の夏、妻とよく話した二人の思い出。


 これから田舎電車に乗って山を越える。

 花火大会に行くために。


 電車はいつまで経っても来なかった。

 どうやら下りで事故があったらしい。

 電車はきっと来ない。

 私はなんだか焦るような心地がする。


 彼女は私の手を取って言う、

「大丈夫、歩いて行こうよ。」

 私は思い出す。

 ただ、あの日の夢を見ながら歩いて山を越えた隣町へ向かうのだ。

 ————————————



《04,昼鳶》

 お馴染みのイントロのアコギスラップを少しアレンジした、n-bunaさんの弾くフレーズから始まった。

 バックの映像ではヨルシカにしては珍しくエロチックで過激な映像が流れていた。男女や女性同士など何人かが身体を求め合ったり、キスを交わす映像だったと思う。(親子で来た人は気まずそうだなと思った)


《05,レプリカント》

 1番のライブ化け曲だと思う。アルバム『盗作』に収録されたアップテンポの曲の中でもパッとしないイメージだったが、ライブでは違った。ギターの二人は体を唸らせながら激しく掻き鳴らし、ベースのキタニさんはヘドバンで長い髪を揺らし、ピアノの平畑さんはサビで拳を幾度となく振り上げていた。曲の迫力といい、ビジュアルといい、最高にカッコ良かった。バックの映像ではブレードランナー風のSFっぽいのが流れていた気がする。


《06,花人局》

 前世のライブ映像で何十回と聴いた曲。前世のアレンジが耳に馴染みすぎたからかsuisさんのボーカルが少しブレていたり、少し音のまとまりがないようにも思えたが、とにかく生で聴けたことに感激していた。

 映像では窓際のラベンダーや洗面台の歯ブラシなどが映し出されていた気がする。

 サビ頭の「さよならを」の声が美しすぎる。元々曲の尺が長く、どこかで間違えてループしているのではないかと思うほど長い時間楽しめた印象。あと終盤の間が空くところで拍手が起きないか少し心配になった。






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