聖剣なんていらねぇ!3回異世界を救った勇者の現代転生後の立ち回り。

神崎あら

第1話 67歳の勇者いざ現代へ!

「勇者ユウゴ」

「はい」

「貴方はその67年の人生の中で3度世界を救いました」

「はい」

「この功績を讃え貴方に現代へと転生する権利を与えましょう」

「はい、神様失礼ですが現代とはなんですか?」


 私ムラクモ・ユウゴは先程67年の生涯に幕を閉じ現在、生と死の境にある世界で神の審判なるものを受けていた。


「そうですね、一言で言うのならばかなり科学の進歩した世界でしょうか」

「なるほど、して私はその世界でなんの役目をこなせば良いのでしょう」

「いやユウゴ、貴方がその世界で行う必要のある役目はありません、ただ普通に暮らせば良いのです」


 普通に暮らすか……確かに今までの人生常に魔王や怪物などとの戦いに明け暮れていたためそんな事考えもしなかったな。

 せっかく頂いた機会だ普通に生きてみるのも悪くないかもな。


「なるほどそれは良いですね、ではありがたく頂戴致します」

「いえちょっと待ってもらえるかしら、いえねそれはやってもらいたい事の一つや二つあるけれどもね、どうしても貴方が普通に生きたいと言うのであればそれでも良いのだけれど」

「え、なんですか?」

「え、いや、だからねどうしても普通に生きたいのであればその限りではないのだけれど、もしよ、もし貴方がちょっとでも協力してくれるのであればね……」


 なるほど、これは何かワケありというやつだな。

 神様の願い事だここでお応えしなければ勇者の名が廃る。


「わかりました、この勇者ユウゴ神様の期待に応えるべく現代なるものに行かせて頂きたく思います」

「あらユウゴ話が早くて助かるわ〜、では早速本題なのだけれどね」


 ほぉ早速本題とは、どうやら神様は鼻から私に普通の暮らしをさせる気など無かったのかもな。


「ええ」

「今現代の世界に多数の悪魔が侵入して、それはそれはえらい事になっているのね」

「なるほど、えらい事ですか」

「そうよえらい事、それでねユウゴにはその悪魔達を全滅させてもらいたいの」


 ほぉ悪魔の全滅か、これはやりごたえのある仕事になりそうだな。


「わかりました」

「うん話が早いわねさすがは元現役最年長勇者ね素晴らしいわ」

「ありがとうございます」

「では早速現代へ送るわね、ああ肉体だけど今のその老ぼれ姿ではなくて、だいたい20そこそこくらいの肉体で送るから安心してね」

「な、なんと若返りができるのですか、それはありがたい」


 この身体だと最近ガタが来ていてロクに仕事にならんかったしな。

 20そこそことは言ってしまえば私の全盛期だ。

 そんな身体に戻してもらえるなんて、神様はなんてお優しい方なのだ。


「うん、じゃあ後の事は向こうにいるササキ・ヨシゾウさんを頼ってね」

「わかりました」

「じゃあいってらっしゃーい!」


 私はそのまま眩い光に包まれ、昇天していくような心持ちになった。

 よし、いざ現代へ参ろうではないか!



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