真夜中のカーチェイス

ロイドが物凄いスピードで走り出した。


CATが強くボクの体を抱き締めていたので振り飛ばされる事はなかった。


「怪我はないか?!」


ロイドが慌てた口調でボクに尋ねてきた。


「あ、あぁ大丈夫だ。それより助かった。」


「何でディとダムに狙われちゃったの?」


CATの問いに対して考えてみたが、狙われた理由が

全く分からない。


「いや、理由は分からん。初めて会ったからな。」


「そうだよね。何でゼロに殺意を向いてたんだろ。」


ボクを狙って来た理由…。


もしかして…、Dragの事やアリスの事を調べていたから?


ボクの考え過ぎと言う事もある。


「おいおい嘘だろ!?」


ボクが考え事をしているとロイドが大声を上げた。


ロイドがバックミラーを見ていたのでボクも前のめりになりバックミラーを見た。


ダムとディが赤い車に乗ってボク達を追い掛けて来るのが見えた。


「え、はぁ!?追い掛けて来たのかアイツ等!?」


パンパンパンッ!!


CATがそう言うと後ろから銃声が聞こえた。


きっと、ダムとディがボク達が乗っている車に向かって銃を撃ってきているのだろう。


ボクは持って来た銃を構えた。


「コレも使えゼロ。」


そう言ってロイドが渡して来たのはマシンガンだった。


ボクが持って来た銃はハンドガンだったので、マシンガンを出して来たのは正直、有り難かった。


「ロイド、マシンガンを持ってたのか?」


「コレがマシンガンなのかは分からないが使ってくれ!俺は運転しているから手が離せないんだ!!」


「ありがとう。使わせてもらう!!」


ボクはロイドがらマシンガンを受け取りCATにボクの銃を渡した。


「CAT。援護を頼む。」


「え!?りょ、了解!!」


CATが銃を持った事を確認して窓を開けて体を少し出した。


CATはボクの反対側の窓を開けて体を少し出して銃を構えた。


「アハハハ!!待ってよー!!」


「もっと僕達と遊ぼうよ!!」


ダムとディはそう言いながら銃を撃って来た。


アイツ等の車を破壊するか。


ボクも尽かさずマシンガンを構え銃弾を放った。


ダダダダダダダッ!!


やっぱりハンドガンと違って銃弾を連続で撃てる。


車に向かって銃弾が放たれたがディとダムは銃弾を弾くように銃を撃って来た。


パンパンパンッ!!


キンキンキンッ!!


銃弾同士が打つかる音が鳴り響く。


この双子、銃の扱いに慣れてんな。


ダダダダダダダッ!!


ダダダダダダダッダダダダダダダッ!!


ボクは体勢をずらしながらマシンガンをぶっ放した。


弾は車の前輪に当たり双子が乗っている車がグラッと揺れた。


CATは尽かさず運転席にいるダムに銃弾を放った。


パンパンパンッ!!


ブジャァァァァ!!!


CATの放った銃弾がダムの左肩に命中し、血を噴き出した。


「アハハハ!!見てよディ!!血が噴き出たよ?」


「アハハハ!!本当だ!!お前ウケる!!」


「やっぱりこっちの団に入って正解だったな!!こんな面白い事を考える団長は凄いよね!!」


ボクはダムの言った言葉に耳を傾けた。


団長?


それに団って?


ダムとディからはDragの香りがした。


もしかしたらピンク街でDragを売り捌いている団体がいるって事か。


「何故、ボク達を追って来るだ双子!!」


ボクは大きな声で双子に尋ねた。


「「僕達の神様がそう言ったからさ!!」」


双子は訳の分からない事を言った。


「はぁ?神様?何だよソレ!!」


CATが少し怒りながら双子を睨み付けた。


「僕達はEdenに行けるようになるんだよ!!それは永遠に変わらないEdenさ!!」


ディが頬を染めながら叫んだ。


ゾクゾクゾクッ!!


背筋に嫌な感じがし、身体中に鳥肌が立った。


「Edenって楽園の事だよね?あの双子は楽園に行きたいのか?」


CATが双子の言葉を聞いて考え込んだ。


ロイドは双子を振り切る為に曲がり角を利用して距離を離そうとしたが、双子達は車が建物や電柱に当

たってもお構いなしに追い掛け来る。


「ッチ!!アイツ等しつこいな。」


ロイドは舌打ちをしながらハンドルを回した。


「アハハ!そぉーれっと!」


そう言ってダムは丸い物を投げて来た。


「何アレ?」


CATは不思議そうに丸い物を見ていた。


アレは…まさか!!


ボクは丸い物に向かって銃弾を放った。


ダダダダダダダッ!!


銃弾に当たった丸い物が光った。


ドゴォォォーンッ!!!


「え、えぇ!?ば、爆弾!?」


「やっぱり撃って正解だったな。」


「え!?ゼロは気付いてたの!?爆弾だって。」


「あんなような物を見た事があったからな。」


CATの質問に答えながらボクは煙草を口に咥え火を付けた。


そしてマシンガンを構え直し車のフロントに上がった。


「ゼ、ゼロ!?何でフロントに上がったの?!」


「アイツ等には聞きたい事があるからな。ある程度、痛めて付けてから捕獲する。」


カチャカチャッ。


マシンガンの弾を補充し再び車に向かって銃弾を放った。


ダダダダダダダッ!!!


パンパンパンッ!!


ボクの放った弾は見事に車に当たり、車が爆発した。


ドゴォォォーン!!!


「やったか?」


ロイドはフロントガラスを見ながら呟いた。


ボクはジッと爆発した車を見つめた。


すると爆発した車の後ろから黒い車が出て来た。


フロントには双子が立っていた。


「う、嘘だろ!?爆発したのに無事だったのか!?」


CATは双子を見て驚いていた。


仲間を連れて来たのか!?


黒い車がボク達が乗っている車の隣に並んできた。


キィィィ!!!


ドンドンドンッ!!


黒い車がぶつかって来た。


コイツ等…、うっとしいな!!!


ディとダムが飛び乗ろうとした時だった。


「ロイド!!黒い車から離れろ!!」


前方からロイドの名前を呼ぶ声がした。


声のした方を見るとバイクにのったジャックの姿が見えた。


「ジャック!!?」


ロイドはジャックの指示を聞いて黒い車から距離を離した。


するとジャックが手を広げ炎出した。


ゴォォォォォォォ!!!


ボク達の後を追わせないように炎が黒い車の周りを囲んだ。


ロイドはジャックの隣に車を止めた。


「ジャック!!どうしてここにいるんだ?」


ロイドが車から降りジャックに話し掛けた。


「間に合て良かった。市民から通報があったんだよ。ピンク街で双子達が暴れて3人組の男を追い掛けて行ったって。」


ジャックはそう言って頭を掻いた。

「残念だなー。今日はこの辺で終わりにしてあげるよ。」

「また遊ぼうね!!バイバーイ!!」


ディとダムはボク達に向かって叫んだ。


ジャックが出した炎が消えると車の双子の姿はなかった。


ジジジッ。


ジャックが持っていた無線が鳴った。


「ジャック。こちらミハイル!!そっちは大丈夫そう!?」


「あぁ。双子達は消えちまったがこっちは無事だ。街の方は?」


「そうか…。街の方は大丈夫だよ!!」


「了解した。後でそっちに合流する。」


「了解!!」


ジャックはミハイルの返事を聞いて無線を切った。


「3人共、怪我はないか?」


「あぁ、俺とCATは無事だ。ゼロが双子と銃撃戦をしてくれたからな。」


ジャックの問いにロイドが答えていた。


「ロイドとジャックは黒い車を運転していた奴は見たか?」


ボクはロイドとジャックに尋ねた。


「仮面をしていて顔が見えなかった。悪い。」


ジャックはそう言ってボクに謝って来た。


「そうか…。」


黒い車を運転した人物が気になる。


あの場面でタイミング良く双子達を拾いボク達を追い掛けて来た。


双子達が所属してる思われる団の仲間だろう。


思ったよりこの依頼は複雑かもしれない。


ボクは静かに心の中で思った。





「噂に聞いてたけど強かったねー。」


「本当本当!!僕達と同等にやり合うなんて凄いよね!!」


車の中でディとダムは興奮しながらゼロの事を話していた。


「お前等さ、あまり派手な事はするなよ。団長が困ってたぞ。」


仮面の男がディとダムに向かって話した。


「えー団長を困らせるのは嫌だなぁ。」


「暫く大人しくするから飴ちょうだい。」


ダムがそう言うと仮面の男は2人にGrapeを渡した。

ディとダムは嬉しそうにDragを口に運んだ。

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