そして今日も、夢の続きを見る。

六十年前。妻は、突如浅い眠りにつく病気を抱えていた。
苦しみや理解が共有されず、一度家を追い出された彼女は、夫の隣で、見た夢を絵にしていた。
夫にはそう見えなかったけれど、それを描く妻はとても楽しそうだった。

そして5年前。
「このごろは眠るのが少し楽しみなのですよ」
そう言っていた彼女は、二度と起きなかった。

そして夫は、時を超えて夢の続きを見る。

「楽しい」と言われて、「楽しいね」と返せる。
そのために彼は、黄金色の小径を歩いていたのかもしれません。


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