【episode10-一途の望み】


そんなある日のことだ。


ーーー密会していたことが樹にバレた。




別れ話の結果、沙楽を手放したくない樹が許す形で事態は終焉した。


涙に濡れる樹の前で『もう会えない。』と、魁人にメッセージを送りSNS も全て切った。




これでもう魁人に連絡もできないし、会うこともできない。


だが、身を切られるような決断の中にいても、沙楽はなぜか希望を捨てきれずにいた。



『きっと、また会える』


沙楽の心には何故か確信めいたものがあったのだ。



その日から、樹に内緒で残した魁人の電話番号だけが、沙楽のお守りであり一途の望みとなったのである。


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