第一話 ゲンジツセカイ

① 負のカンジョウ?

少女はいつも空を見上げる。夜の星空よりも昼の明るさが似合う子だ。

??:「今日はどう?いい天気じゃない」

真っ直ぐな瞳で見つめる少女。少しだけ寂しい顔をしているような気がする。

??:「愛瞳、今日はいい天気。だけど……」

真っ直ぐな瞳の少女

名を、波風愛瞳なみかぜまなみと言う。

愛瞳:「ふうん。私にはよくわからないや。碧風ってほんと不思議」

空を見上げる少女

名を、光野碧風みつのあおかぜと言う。

碧風:「フシギ……ねえ。そんなに自覚ないから。ごめん」

愛瞳:「いやいや、謝ることじゃないんだけど。なんか…感じるっていうか」

愛瞳、この子は人の目を見るだけで色々な感情を読み取れてしまうのだ。

それを察してかはわからないが、友達と呼べる人がとても少ない。

一人でいる時に碧風が話しかけて来て、その時から碧風のことを不思議に思っているのだ。

なんてったて、感情が見つからないのだから。

??:「あっ。碧風ー。何してるの?」

たくさんの人に囲まれている少女

囲まれるのはあまり嬉しくないようで、無理をしている気がする。

碧風:「うん?いつもの空の観察。気持ち切り替えないとだから」

??:「そっかあ。ん……?」

愛瞳:「あ、え。いや、なんでも。紅風さん」

そう。このクラスの人気者の名を、翡翠紅風ひすいあかぜと言う。

人気者っていいなぁと思う人もいるかもしれないが、この子は一人を好むのだ。

愛瞳:「あっ。うう……。」

紅風:「え、大丈夫?保健室行こう」

  :「紅風ー。そんなボッチにかまってないでいこーよー」

愛瞳:「だ、大丈夫です。一人で行けます。」

碧風:「心配だから私がついて行く。行ってきな。じゃあ」

紅風:「よろしく、碧風。お大事に」

愛瞳:「あ、ありがとうございます。」

(優しい…わかってるけど。ああ、今日も敬語だった)

もやもやした気持ちが広がる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る