第8話

……怖い顔の皇子様以下5名。

エイル、スペンサー、レン、メアリー、モルガナ様。

学園の人気者がずらりと私達の前に仁王立ちで立っている。


「……貴方達ここで何をしているんですの?」


「見たところ、バカ騒ぎしてただけみたいだけど?」


「そっその、モルガナ様、スペンサー様私達はそのねぇ、シェリー!」


威圧的な態度に思わず口を開いたクセになんで私に頼るかなぁ!?


「ねぇって何よ、ちょっと私に振らないでよ!」


「嫌よ! この人達に私達が災厄払っただなんて言えないじゃない!!」


コソコソ言ってるつもりだけど、思いっきりあちらの方々に聞こえてるんだけど。

みてよ、更に怖い顔になってるよ!

エイル様なんか、すっごい黒いオーラ出してるし!


「……本当に、お前達が……災厄を払ったのか?」


「うっ、あー、はい。倒しましたすみません」


「信じられない、本当に二人が?」


有り得ないという顔をするメアリーに少しイラッとしたので少しキツイ顔で彼女に顔向ける。


「えぇ、メアリー様。私達が雲を払い災厄の一人カラミティを倒しました」


「カラミティ……だと!? 貴様! 本当に倒したのか!?」


カラミティの名を出した瞬間エイルの目が変わり、ギロリとレイを睨みつける。


「ひっ、すみません! 必死だったんです! 私のせいだと思ったから何とかしようと思って!」


「……謝るな、レイ・アルペジオ。災厄を払ったのはいい事だ。この国の王子として感謝する」


頭を下げるエイル様に戸惑いながらもレイも頭を下げる。


「いっ、いえいえ、とんでもありません」


「シェリー殿も、ありがとう。貴殿は見た目によらず強いのだな」


「いっ、いえ!!! 滅相もございません!」


あっ、憧れの王子から褒められた!

あの時見つめるだけだった彼から褒められた!

名誉すぎる! 今日の日のこと絶対忘れない!

戦ってよかった!


「ひのきのぼうでどうやって戦ったか今度教えてくれないか?」


「はっ、はい! 是非!」


良かった~なんか今後の展開について言い争う事とか無くて。

とりあえずほっとしたよ。

エイル様も、怒って無さそうだし。


「……おいおい、マジで倒したのかよお前ら」


「あっ、ファイン様出てくるの遅いよ」


少しボロボロになって目の前にでてきた第二王子。


「うっせ、それよりすげぇじゃん、ひのきのくせに」


「ただのひのきじゃないからね」


「そこで何をしている!」


私とファイン様が和やかに話していたのに、なんで水を刺すかなぁ……ご老人たちはさぁ。


「……あの災厄を払ったのは誰だ」


「誰だっていいでしょ、おじいちゃま達」


そう言ったせいでまた反感を買ってしまった。

直ぐに魔法を撃ってきそうな勢いで睨まれてしまった。


「それより、貴方達はどこで何をしていたんですか? 怪物を見つけて倒していたらあの雲の存在にくらい気づくはずですよね? しかも一番盛り上がってる戦場を放って置くはずがないですよね? 教師で、人を守んなくちゃいけないんだからさ!」


「ワシらにも事情があるのだ! モルドレッド!」


「へぇ? 事情ですか! 若者に重要な戦闘を任せて! それで、誰がこの場を治めたか知りたいんですかぁ!? 納得できない結果だったらブチ切れるクセに!? その後功労者をどうするんですねぇ!?」


「言わせておけば!」


「まぁまぁ、その辺にしておきなよ、若者を虐める御年寄とか見ていて見苦しいぜ?」


「ゆっ、ユーリ様!」


近所の面倒見のいいお兄さんみたいなセリフなのに、彼の声を聞いた途端、周りの皆が彼に敬意を払うように頭を下げた。

教師達はモーセが割った海のように並んで、彼のために道を作る。


「やぁ、初めまして元気で可愛いお嬢さん。僕の名前はユーリ、宮廷魔道士さ」


ニコリと優しく笑いかけて彼は私に手を伸ばした。






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