プラズマ粒子砲

「これは……。身体に力が湧いてくる……!」


 光が収まったとき、私の身体はあちこちがアップデートしていた。


 かかと辺りにはアンカーとして使えそうな突起が、尻尾の上下には一列のフィンみたいなものが追加されている。


 そして口の中には物々しい砲身のようなものが実装されていた。


「ハンナ、これは……?」

『プラズマ粒子砲だよ、これであいつらを一掃できるかも!』

「プラズマ粒子砲だって……!?」


 聞き慣れない単語だが、ものすごい強化だということは直感的に分かる。


『それじゃあいっくよー! プラズマ粒子砲、発射用意!』


 そう叫んでハンナが操作した途端、私の身体が頭から尻尾まで水平な一直線の姿勢になり、かかとのアンカーが地面に下ろされる。


 新しく追加された尻尾のフィンがバババッと展開するのに伴い、口の砲口では青白いエネルギーのようなものがチャージされていく。


「あれはまさか、最強の武装である粒子砲!? いけません、このままでは我々が跡形もなく消されてしまいますぞ!」

「なにぃ!? ――そうはさせるなっ、総員で奴の粒子砲とやらを阻止しろ!!」

「おおおお!!」


 ヒドーラの号令で千を超える機械ラプトルと機械クワガタの軍が、こちらに向かってきた。


 まずい、今はプラズマ粒子砲のチャージ中で身動きがとれない。

 そこを一斉に攻め込まれたらひとたまりもないぞ!?


 危機感を覚えた次の瞬間、崖の上からクワガタくんが急降下して機械クワガタの一体をおおあごで捕らえた。


『ウィル!』

「ここはボクたちに任せてください! おりゃおりゃああああああああ!!」


 それからウィルはクワガタくんを操縦し、機械クワガタを掴んでは地上の機械ラプトルに投げつけ、おまけに大あごの間に装備された二丁の機銃も火を吹かせる。


『ウィルが時間を稼いでくれている、この間にチャージを完了させないと! ――あれぇ!? そんな、チャージが途中からたまんないよ~!!』


 なんだって!?


 確かに砲口で凝縮されるプラズマ粒子砲のエネルギーが、途中でたまりづらくなっている。


 それになにやら目の前もまた砂嵐で霞み始めてきた。


 プラズマ粒子砲、これは我々には過ぎたものなのか……!?


 その時だった、私の頭でこんなアナウンスが流れる。


『エネルギー強制チャージモード、発動します』


『わわわっ、なんか変なのが出てきたよ~!?』


 それと共にハンナがまたがるサドルから、何やらウネウネと気色悪くうごめくラバー製の触手のようなものがいくつも彼女の方へ伸びるのがコックピット内スコープに映っていた。


 エネルギー強制チャージモードだったか、これは嫌な予感がするぞ。

 鎮まれ、何やらよく分からない触手よ……!


 触手の動きを止めようと必死で力む私に、ハンナがこんなことを告げる。


『――いいよ。デュークにならアタシの身体めちゃくちゃにされても構わない』

「何を言っているのだハンナ、こいつの制御を解けば君がどんな目に遭うか分からんぞ!?」

『それでもっ、アタシはデュークを信じる! それに今は四の五の言ってる場合じゃないもん!!』

「ハンナ……すまないっ」


 ハンナに言われて私が触手の制御をやめると、それはすぐさま彼女の身体に絡みついた。


 んぐっ、触手伝いにハンナの柔らかさが……!


 特に触手の動きが激しいのがハンナの豊満な胸に絡んだもので、ムニュムニュと揉みしだくように締めつける。


 全身を触手に絡みつかれるハンナの姿がとてつもなく扇情的で、彼女に申し訳ないがこれは非常に情欲をそそられる!


『あははっ、これくすぐったいよ~!』


 当の本人も触手の挙動がこそばゆいのか最初は身体をよじらせていたが、次第に顔をほんのりと赤く染め始めていった。


『あれ……? なんかアタシの身体、おかしいよ~?』


 触手に性的快楽を感じてしまっているハンナに共鳴するよう、私の口でエネルギーがさらにたまり。


「ハンナ、こんな状況で悪いがそろそろプラズマ粒子砲を撃てるんじゃないか?」

『はぁ、はぁ……それも、そう、だね……発射――ひゃいっ!?』


 ハンナのすっとんきょうな声と共に、私の口から青く強烈なビームのようなものが放たれた。


「おあ――」


 プラズマ粒子砲の奔流を浴びた機械ラプトルの軍勢が、悲鳴をあげるまもなく消し飛んでいく。


『はぁ、んあっ。ダメ、これ以上はアタシの身体がおかしくなっちゃうよ~!』


 触手に絡みつかれて全身の至るところをこねくりまわされるハンナのあられもない姿がコックピット内スコープ越しに視界に映し出されて、膨れ上がる私の情欲と共にプラズマ粒子砲が勢いを増していき。

 それから私が首を動かしてまんべんなくプラズマ粒子砲を浴びせると、あれだけの数を誇っていた機械ラプトルの軍隊が瞬く間に蒸発・・していった。


『すごいよデューク、アタシこんなの初めて……ひっ!? そこ・・は~~~!!』


 ハンナの背後で一本の触手が不審な挙動をしたのがチラリと見えた途端、彼女は激しく身をよじり始める。


 まさか、入ってしまったのか……!?


『はぁ、あぁ、んんっ、アタシそこはまだはじめてなのにいいいいいい――あああああああん!!』


 そしてハンナが絶頂に達したとき、プラズマ粒子砲の勢いが最高潮になって一面を飲み込む。


 そしてエネルギーが切れた頃には、基地があった場所は燃え盛る青白い炎に包まれ、あれだけいた敵も残骸一つ残さず消え失せていた。

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