七色の天使

けがれを知らない純白の天使が目を覚ます


アスファルトに触れた白い足先が

じわりと滲んで彩を得る


天使はふるりと身を震わせて

広げた翼で己をかきいだ


一歩を重ねるごとに

白は多くの彩に染まっていく


増える傷に透明な血が流れる

吹き付ける風に、睫毛まつげ揺蕩たゆた


それでも天使は歩みを止めない


ボロボロの足が踏み締めていく

小さな想いを重ねていく


ふと誰かが振り向いた

はっと誰かが顔を上げた


傷だらけの天使が歩いていく

七色の翼を背負って歩いていく


痛みをいて七色をいだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る