変革の午後④

「マスター、どうぞお座り下さい」

 そんな中、イオリは近くの一人掛けのソファーを差し示した。

「…ああ。ありがとう」

 心を抑えつつソファーに座る。すると、何処からともなくカプセルが漂って来て四人の頭上で静止した。そして、四人は一斉にカプセルを口の中に落とし、ごくりと飲み込んだ。

「「「「……っ!」」」」

 直後、四人はその場にしゃがみ込みそしてゆっくりと立ち上がった。…ああ、なんて美しいんだ。

 その瞳から流れる嬉し泣きの涙は、俺の心を鷲掴みにした。

『ーおめでとう。これで、貴女達は真にマスターにお仕えする資格を得たのです。

 さあ、マスターに真名を名乗り-愛称-を授けて貰いなさい』

 すると、同じように涙を流していたアンリは四人に告げる。


「「「「イエス、キャプテン」」」」

 四人は頷き、マーサは俺の前に進み出て三人は下がった。

「改めて、名乗らせて頂きます。

 私は、『ア・イカイセチミ・ロラブ』と申します」

「…ふむ。

 ーこれから宜しくな、『アセロラ』」

 俺は愛称で呼びながら、手を差し出した。

「…はい。宜しくお願……っ、します…」

 美しい泣き顔のままアセロラは俺の手を握り返し…そして、ビクッと跳ねた。やはり、『生まれ変わった』ばかりだと『生まれたばかり』のように敏感なのだろう。

 たがら俺は、左手で彼女の手の甲を包み込む。

 すると彼女はまた震えた。…後、一回かなー。

 まだまだその誰も触れた事のない手を堪能したいが、後三人分あるので今日は我慢し次のアクションで終わせる決意をした。

 そのアクションとは、左手で彼女の手の甲をゆっくりなで回す事だった。すると、彼女は数回ビクッとした。


 そして、俺はその手を離した。

「…あ、ありがとうございます」

 アセロラは、蕩けた瞳でお辞儀をし俺に弄られた手を天井に掲げてうっとりと見つめ、そして後ろに下がった。

 すると、同時にマルカが前に進み出た。

「…それでは、改めて名乗らせて頂きます。

 私は、『ア・キイウヨリイダ・シヤリ』と申します」

「…ああ、これから頼むぞ『アイーシャ』」

 俺は期待に目を輝かせるアイーシャに、再び手を差し出した。すると、彼女は嬉しそうに手を差し出し……俺はその細い手首をそっと掴んだ。

「…っ!」

 俺の不意打ちに彼女は少しはね上がった。…さあて、彼女はー。

 俺は、手首から一度右手を離し普通の人でも敏感に感じる付け根に指を這わせる。

 その瞬間、上品な顔から出たとは思えない声を出しぴくぴくと震えた。

 そして、最後にきちんと手を握った。


「……あ、ありが……とう、ございますぅ……」

 アイーシャはやや乱れた呼吸でお辞儀をし、ゆっくりと下がった。

 そして次に出て来たのは、完全に緩みきった表情のマエスだった。

「…改めて、名乗らせて頂きます。」

 私は『ア・ルメダサイテ・サイナ』と、申します」

 以前までの彼女なら間違いなくこの状況は卒倒モノだっただろう。…しかし、今目の前に立つ彼女は期待と興奮で息を荒くしながら名乗るのだった。

「(何をしてあげようかな~?)…『アルティナ』。君には見事な選定を期待しているよ」

 俺は彼女の期待に答えるべく、手を差し出した。当然、彼女は手を握り返して来た。

 そして俺は、そのまま手を引っ張り自分の口元に近づけ……彼女の手の甲に優しく口付けした。

 彼女はビクッとし、甘い吐息を漏らした。当然、顔に近付いた胸も揺れた。


 …だから俺は何度も口付けをする。

 その度に、彼女はビクッとしながら身体を揺らし甘い声を出した。…そして、俺は惜しみながら手を離した。

「……あ、あり……がとう…、ござい……ます…」

 アルティナは息も絶え絶えになりながらお辞儀をし、フラフラしながら後ろに下がった。

 そして、最後にマゴルが既に出来上がった表情で前に進み出た。

「…改めて、名乗らせて頂きます。」

 私は『ア・イガネクキ・ラマス』です」

「…『アネラス』、最初の要望だ。

 両手を俺の顔の前に出してくれ」

「…っ!はい…」

 アネラスは、躊躇いなく前屈みになり両手を俺の顔に近付けた。…そして俺も、躊躇いなく手を重ね『恋人繋ぎ』のように指を絡めた。

「…ひあっ!?」

 彼女は一際大きく跳ね…腰を抜かしたのか俺に倒れ込んで来た。…あ、ダメだー。


「…っ!?」

 眼前に迫って来る凶悪な『ヘイキ』を見た瞬間、俺は自分の手を彼女の手を握ったまま大きく広げた。直後、想像を絶する快感が顔を襲撃した。

 そして彼女にも胸から未体験の快感が伝わり、それだけで彼女はびくびくと軽く痙攣した。

 その振動がまた快感を伝え、俺は堪らず敏感な脇に手を入れ一旦彼女を離す。

 その再び襲う未知の快感に、彼女は身をよじらせた。たがら俺は、脇に刺激を加える。

 脇を片方ずつ責める度に、彼女は甘い声を出しながらびくびくと震えた。…良し、落ち着いた。

 そこでようやく我に帰り、イオリにアイコンタクトを送った。

「ーっ!」

 …すると、興奮していたイオリはハッとし直ぐにアネラスを介助した。


「ー…っ、も、申し訳……、ありませ……ん」

「俺も悪かった。…あまりにも幸運な展開につい、我を忘れてしまったようだ」

「い……いえ、ご満足……頂けたのなら……嬉しい……です」

「ー…あの、マスターダイスケ……」

 顔を上気させつつ、見惚れる微笑みを浮かべるアネラス。…すると、残りの三人は興奮した顔でこちらを見ていた。…うわ、どうしよう?

 俺はアンリに助けを求めた。


『ー三人共、-それ-は食後の楽しみにとって置きなさい』

「「「…っ!はいっ!」」」

 アンリの言葉に、三人は急に冷静になり画面の彼女に敬礼した。…流石キャプテンだな。

『…っ。マスターダイスケ。本日は誠にありがとうございました。…それではこれより、本日の出来事を記念してのささやかな祝宴を開催致します。どうぞ、ごゆるりとお楽しみ下さい』

 アンリは一度咳払いをし、この後のプログラムを告げる。

「ああ、たっぷりと楽しませて貰うよ。それじゃあ二人共、またな」

『はい、失礼致します』

『失礼致します』

 二人が深いお辞儀をした後、テレビの電源は切れた。


「…それでは、マスターダイスケー」

 そして、アセロラがこちらを振り返った瞬間、俺を含めた全員の衣装が夜会用の礼装に変わった。…おお、びっくりだな。『二重の意味』で。

 衣装が一瞬で変わった事も驚きだが、服と靴サイズがぴったりなのにも驚いた。…まあ、彼女達ならそれくらいの事も出来て当然だろう。しかしー。

 俺は立ち上がり、色とりどりの胸元と肩が出たドレスを着た巨乳美女達と清楚なドレスに身を包んだ可憐な美女達をじっくりと見回した。

「…マスター、こちらへどうぞ」

 すると、清楚なドレス姿のイオリが案内してくれる。

「ああー」

 俺は彼女に案内され、通り道を作る艶姿の美女達の間を通り抜けて近くのドアに入るのだったー。


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