ep.3

 しばらくの間、村田と駄弁っていると時計は3時を差している。学校が終わったのが昼頃だから、2時間ほど経ったのかと思い夕飯の買い物などもしないとな、と考えそろそろ帰るか、と村田に言う。結構時間も経っていたため村田も、これ以上長居するのもな、といい帰ることになった。


 日が暮れるまでまだ時間があるなと思い、村田に買い物の手伝いをお願いする。もちろん、手伝ってくれたらお菓子か何か買ってやるよと言うと、二つ返事で引き受けてくれた。菓子で釣れるなんて安上がりな奴だなと思いつつも二人で駅から一番近いスーパーへと向かう。


 スーパーでは一週間分の材料を買うつもりだったので、ほぼ一人暮らしとはいえそこそこ重い荷物を村田に持たせていると、ぐちぐち文句を言ってくる。


「はぁ、結構重いぞ..これ。知ってれば菓子一個なんかじゃ釣られなかったんだがなぁ…」


「ぐちぐち言うな。勝手に勘違いして内容を確認しなかったお前のミスだ」


 と何も持たずしたり顔で言う俺に、くぎぎと如何にも悔しそうな表情をしている。


 そうして、話しているとスーパーから徒歩10分ほどの我が家に着いた。村田は、また明日なー、と言いながら報酬のポテチを貰ってそのまま帰っていった。


我が家は2階建ての一軒家で、何故一人暮らしの高校生が家を?と思うかもしれないが、ほぼ一人暮らしなだけで毎月1,2回ほど父親が家に帰ってくる。ここ最近は仕事の対応に追われ、忙しくて帰ってこれてはいないが、シングルファザーとして俺をここまで育ててくれた。母親は元々体が弱く病気を患っていたこともあり度々入院していたのだが中学の頃に亡くなってしまった。俺よりもショックが大きかったであろう親父には感謝してもしきれない。


 その後はいつものように、夕飯を食べて風呂に入り寝る前に少しラノベを読んでから、休みに慣れてしまった体を明日に備えるためにいつもより早めに寝床についた。









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 数日が経ち、休み明けの体には長いように感じられた平日も昨日で終わり。昨夜に突然親父から電話がかかってきて、明日の昼に帰ると掠れた死ぬ寸前のような声で言われた時には誰か分からず、思わず大丈夫ですか、と声をかけてしまった。親父が帰ってくるのは、約一か月ぶりなので日頃の苦労を労わってやりたいと思う。


 とりあえず、午前中は昼飯の準備と家の掃除に、午後は親父とどうするか考えるか、ベッドの中で一日の計画を立てると、ベットから起き上がる。顔を洗い、朝食の準備をする。朝食を食べた後は邪魔な前髪をヘアピンで止め家を大まかに掃除していく。昼前に掃除は終わり、昼食の準備へと取り掛かる。献立を頭の中で決めていきテレビを見ながら作っていく。テレビでは天気予報が流れていて、どうやら今日の午後から明日にかけて雨が降るらしく、洗濯物を入れないとななんてことを考えていると玄関の呼び鈴がなる。時計を見ると12時丁度。恐らく親父だろうと思い鍵を外して扉を開ける。そこには、少しくたびれたスーツに整えられた顎髭を生やして、まるで少年のような屈託のない笑みを浮かべながら近所の洋菓子店の箱を持っている俺の親父、瀬見矢託せとみやたくが立っていた。


「久しぶりだな!宇津!」 














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感想などお待ちしております。

 


 



 


 

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