第7話踊り娘隊現る4

「あのー…。」

「…………。」

完全スルー。スルースキル最強。

100回ぐらいこの繰り返しだ。

「やっぱりですわ。カレンさん。」

後ろを振り向く。そこには、息を呑むほど美しい少女が居た。漆黒の髪に、およそ自然に生まれい出たとは思えない翡翠色の目。

「初めてまして。私は、マリナですわ。」

スカートの端をつまみ、優雅にお辞儀する。

何処か、貴族を思わせる仕草。彼女が貴族令嬢だと言って疑う者は皆無であろう。

「あ…初めてまして…イドです。」

「あら。あまり見つめられると、照れてしまいますわ。」

どうやら、見惚れてしまっていたらしい。

「イド!」

声。エイミーの声。

「エイミー!」

二人は抱きあった。

そんな二人を見ながら、マリナはカレンに話しかける。

「ねぇ、カレンさん?」

「何?」

「この街には、もう一人来ていた筈だと思うのですけれど。」

唇に指を当てながら言うマリナ。

「パテールね…。」

「あの子、気分屋な所がありますし、何処かで油を売っているかもしれませんわ。」

「そうね…。来ていないということは…つまり、そういう事よ。私が行ってくるわ。」

「行ってらっしゃいませ、カレンさん。」


一人の少女は徘徊していた。何処かを。

「はあ、はあ…どこ〜!?ゾンビが居る街ぃ〜!!」

彼女はもう、一時間ほど歩き続けていた。

もう限界だった。彼女は、踊り娘隊の中で一番体力が無い。当たり前だろう。彼女は、普通の人間の少女以下の体力だ。彼女から踊りの力を取り上げてしまえば、ただの少女、否、それ以下のか弱い少女になってしまう。

ひとまず、ここで休むのが吉だろう。

「はあ、はあ…。」

傍から見れば、死にかけているように見える。

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