第25話 次の接触について

 放課後になり、すぐに集会所にやってくる。


 今日は珍しく富田先生の話しが長かったので、我がクラスは帰りのHRが長かった。


 なので、カスミが先に集会所にいて、ボーッと窓の外を眺めていた。


 つられて、俺も窓の外を眺めると、サッカー部がアップをしているところだった。


「良い男でも見つけたか?」


 そう言うとカスミはマジな顔をして答えてくる。


「南志見くん……小山内さんの話しだと怒鳴るような人じゃなさそうなのに……。私たちがふざけすぎたかな……」

「おいおい。昼のこと引きずってるのか?」

「だって……。よくよく考えたら、いたずらなラブレター送って呼び出して、サボテンで待ち構えていたら怒るよ」

「ぷっ」


 思わず吹き出してしまった。


「ちょっと。笑い事じゃないんですけど」

「いや、だって、な? 改めて言われると、俺らカスだな」

「だよねー」


 ため息を吐きながらカスミが自己嫌悪に陥る。


「そのことで話しなんだけど」

「うん」


 俺はいつもの席に座りカスミを見る。


「カスミ。ごめんな。怖い思いさせて。変に気を使わせて。あんなに怒鳴るとは思っていなかったんだ」


 昼のことを改めて謝り、頭を下げる。


「え? そ、そんな……。私もノッたし」

「いや。俺がアホな提案したのが間違いだった。カスミにあんな思いさせて、本当にごめん」

「南志見くんのことは私も悪い。だからレンレンだけのせいじゃないよ。頭上げて」

「ありがとう。カスミ」


 そう言って笑いかけると「ずるいよ」なんて拗ねた声で呟く。


「ん?」

「なんでもない。それより、話しって?」

「ああ」


 コホンと咳払いをして切り替える。


「ラブレターで呼び出して、サボテンで待機。それでも南志見はちゃんとツッコミをしてくれた。呆れていたかもしれないけど、初対面なのにちゃんとツッコミをしてくれただろ? そこら辺はさすが運動部。ノリが良すぎるよな」

「まぁ……私なら全力で逃げるもんね」

「でも、話題が噂の話しになった時、急激に態度が激変した」

「そうだね。見ててわかるくらいにね」

「ありゃ相当噂話しでまいってるって感じだな」

「うん……」

「だから、もう少し噂の部分に触れて南志見と話しをしに行く」

「大丈夫? また怒鳴られるんじゃない?」

「そうかもな」


 苦笑いが出てしまう。


「依頼のこともあるけどさ、正直、俺のことでもあるんだよ。変なサイコパス野郎に絡まれるし」

「確かに……。レンレンも大きく関わっちゃってるもんね」

「だろ? これは俺の問題でもある。だから、南志見にはちゃんと言わないとな。お前のサッカー部の仲間に俺は迷惑してるって。もちろん、小山内さんの依頼のことは伏せる」

「だね。そこはマジな部分だもんね。うんうん。サッカー部の練習終わりに南志見くんのところに行くの? 一緒に行くね」

「いや」


 俺は首を横に振った。


「今回は俺一人で行く」

「なんで?」

「二人で言って、また惚気とか勘違いされちゃ話しにならないからな」

「それは話せば良いでしょ? 一人より二人の方が良いって。私も行くよ」

「それに──」

「それに?」

「カスミにあんな怖い思いさせたくないからな」

「え……」


 ちょっと照れながらも俺は続ける。


「カスミ、平気なフリしてるけど、やっぱり怖かっただろ? 急に怒鳴られたら怖いよな。俺はカスミにそんな思いさせたくない。だから一人で行く」

「レンレン……」


 カスミは「やっぱり……ずるいよ……」と言いながらカスミは俺を見る。


「無茶だけはしないでね?」

「ふざけないように善処する」

「ふざける気だったの!?」


 カスミの言葉に大笑いしてしまう。


「ま! 南志見の練習が終わるまで時間あるし、なんかアプリしようぜ」

「もう……。ふふ。付き合うよ」

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