第6話 お嫁さんと初めての晩御飯
「ねぇ、
「ああー!! ごめんなさい、送り間違えちゃったかも」
図書館から帰ってくると俺は早速ドンマイというスタンプの理由質問した。
図書館の司書さんに怒られてすぐのことだったから綾間さんが近くから見ているのかもしれないと思っていたけどそれは違った。
もしそうだったら綾間さんは俺のストーカー兼許嫁という解釈になってしまうところだった。
それはさておき、帰ってくるとテーブルの上に料理が沢山並べられていた。
どれもオシャレで見栄えがよく、食欲をそそる料理ばかり。
「これって全部綾間さんが作ったの!?」
「うん。そーだよー! 初めて作ったものもあるけど味は保証しますっ!」
席についた俺と綾間さんは手を合わせ、同時に同じサラダのトングを掴んだ。
綾間さんは少しテレた後、ニコッと笑って俺に譲ってくれる。
「ありがとう。でも先に綾間さんから取って。頑張ってくれたんだし」
「いやいや、ここは旦那様が取ってください。感想早く聞きたいし」
「あ、じゃあ……」
皿にサラダを盛り付けドレッシングをかけてから緑黄色野菜を口に入れる。
「すごく美味しい! こんなサラダ食べたことない!」
「いや……。スーパーで買ってきて水につけた後に切っただけなんだけどなぁー。でも、嬉しい!」
本当に美味しかった。
俺だったら野菜なんて水で洗いで切ったらおしまいって感じだから、綾間さんみたいにシャキシャキでみずみずしいサラダにはならないだろう。
それに普段はインスタントやコンビニ弁当ばかりの生活が当たり前になっていたのでこんな豪華な料理は久しぶりだ。
「でもこれって結構お金かかったよね……」
「いいや? 近所の優しいおばさんに野菜沢山もらったから結構安いよ!」
えっ……。もう近所のおばさんと仲良くなったのか。
俺なんかあのモジャモジャ頭のおばさんと仲良くなるまでに半年はかかったのに。
流石、元国民的アイドルだ。
「そういえばさ! 今日スーパー行った帰りに本屋さんで山崎くん見つけたんだぁー」
「え、陽太を?」
「うん! それでさ、山崎くんMIXトラップの写真集買ってたよ! だから私も有名になったんだなぁーって」
「あいつ最近ハマりだしてるからなー。確か綾間さん推しだった気がする」
「そーなの!?」
こんなにもアイドルのこと好きそうなのになんで一年で引退を発表してしまったのだろうか。俺には関係ない話しだし、人間誰しも言いたくないこともあるだろうから俺は聞いたりしないけど。
「あ、
「うん、今食べる!」
――食事が終わり膨れたお腹をポンポン叩く俺。
調子にのって食べすぎたせいか今は水でさえ欲しくない状態。
隣に座る綾間さんはバライティー番組を観ながら楽しそうに笑っている。
「あぁ、キツイ……」
「幸太くん大丈夫? あんなに沢山食べちゃったから……。明日に残してくれても良かったんだよ?」
「ごめん……。でも綾間さんの料理むちゃくちゃ美味しかったから」
「そっか。じゃあ仕方ないね」
そう言うと彼女は俺のお腹に手を置いて優しくさすり始めた。
「ちょっ!? 綾間さん?」
「夫婦なんだからいいでしょ」
それってもしかして俺も擦っていいってことなのだろうか……。
いや、万が一のことを考えて辞めておこう。
「でもあんなに喜んでもらえるとは思わなかったなー。初めてだったし」
「え? なにが」
「男の子に手料理作ってあげるの。まぁ、これからは毎日味噌汁作ってやるぜっ!」
「綾間さん、それなんのキャラ……」
グットサインしながらニコッと笑ってこっちを見てくる。
むちゃくちゃ可愛い。
まだこの生活を初めて二日ほどしか経っていないけどわりと三次元もいいと思った。
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