プラトニックキス

どるき

第1話 彼と迎える朝

 ここ数日立て込んでいた大きな仕事を片付けた翌朝、目覚めたオレはあることに驚いていた。

 同じベッドに眠る十歳の少年に抱きつかれていたのだが、それがまた華奢で柔らかくて温かくて、下品な言い方をすればとてもえっちなモノに見えたからだ。

 オレは美少年に欲情する変態ではないのだが、本能レベルで「彼は別腹」だと体に訴えられている。

 何故ならアソコが大きくなったり粗相をしたりと、ぱんつの中が第三者に見られたらそうとしか思えない状態になっていたからだ。

 しかもそろそろ目覚めそうなのか、うーんと唸っている声もまたかわいい。

 そんなに可愛いと新しい性癖に目覚めてしまうと悶絶するオレは、この時点ですでに手遅れだということに気づいていなかった。


「おはよう。お兄ちゃん」


 少しして彼も目覚めたのでオレも一緒にベッドから出た。

 さり気なく下半身の状況を見せないようにしたのだが……あの顔はもしやオレのぱんつの中がどうなっているか気づいたのだろうか?

 考えてみれば小学五年生になれば授業でも多少は教わるのだろう。

 まったくこんな可愛い子にマセたことを教えたのはどこの教師だ。


「ちょっと待っていろ。寝汗とか色々あるから、シャワーだけ浴びてくるから」


 粗相をした下着を取り替えるついでにシャワーに走ったオレは、彼にキスしたい衝動を抑えながら頭から冷水をかぶる。

 寝起きの朝立ちと言うやつか、少し頭を冷やさないと変な気を起こしてしまいそうになる。

 それだけ彼の唇は魅力的だし、加えて不思議な力も兼ね備えていた。

 頭を冷やしながらこれまでの出来事を整理しよう。

 あの魔性とも言うべき美少年……病田恭介とオレがどうして今日から一緒に暮らすことになったのかを。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る