27.イルミーレとの日々(下)  公爵サイド

 エリトン侯爵の夜会が無事終わり、見事にイルミーレが私の婚約者として貴族社会に認められた、と安心していたある日、副官のブレンが怪訝な顔で私の元にやって来た。


「お前に至急の手紙だそうだ。差出人はエルグリア。お前の所の侍女長だな」


 は?エルグリアが手紙?前にワクラでもらったアレを思い出してしまうが、彼女から今手紙が届くのは色んな意味でおかしい。


 まず、帝都のこんな近くで手紙を届ける意味が無い。彼女が急用を私に伝える時は屋敷の者を使者に立てる。その時に書簡を持たせる事はあるが、その場合は使者が私の執務室に通されて私に直接手渡す。ブレンが持ってきたという事は屋敷の者が来たのではないのだろう。


 そして、エルグリアは今日、イルミーレのお供でお茶会に行っている筈だ。どこかは知らないが。その彼女からどうして手紙が届くのか。私はブレンに尋ねた。


「どうやって届いたのだ。その手紙は」


「ああ、帝宮との定期往復便だな」


 帝宮と各省庁の間では業務のやり取りをスムーズにするために一日に4回、定期的に郵便係が巡回して書類や書簡、荷物を運んでいる。それに乗せられてきたのだという。・・・帝宮?


 嫌な予感がして私は慌てて封を切った。するとそこにはエルグリアの走り書きの様な字で「奥様が皇帝陛下とお会いになっている」と書かれていた。自分は席を外させられたのでその隙にこれを書いて送ったと。イルミーレが兄と会っている?私は真っ青になった。


 慌てて立ち上がる。いぶかるブレンに帝宮に上がると言って駆け出すように外に出た。そして馬を用意させ、遠くも無い帝宮へと駆け付ける。


 軍務大臣にして公爵の私であっても、皇帝陛下には直ぐには会えない。しかも今日は陛下は休養しているという。陛下はここ数年また身体が衰え、週の半分は休養に当てられているらしい。公的な接見では無く私的な面会となると数日前にお伺いを立てておく必要がある。しかし数日も待っていられない。何とかならないかと侍従長に談判していると、皇妃様の侍女長が現れ、皇妃様が面会を希望していると私に言ってきた。なぜ皇妃様が?


 兎に角、陛下に会えないなら皇妃様から情報を得るしかない。私は侍女長に付いて行き帝宮の東館、皇帝一家のプライベートスペースに近接する談話室に入った。


 入るなりイルミーレを探したが、いたのは皇妃様だけだった。いつも通りニコニコ笑っている。


「呼び出してごめんなさいね?アルステイン様」


「・・・良く私が帝宮にいると分かりましたね?」


「カルステン伯爵夫人が手紙を出したのでしょう?来ると思いました」


 カルステン伯爵夫人はエルグリアの事だ。私は思わず眉を顰める。


「今日のお茶会は皇妃様とのものだったのですか」


「そうです。ちょっと騙した感じになってしまいましたけど」


 ちょっとじゃありませんよ!思わず大きな声が出そうになるところを辛うじて抑える。騙して呼び出して非公式に皇帝陛下に合わせるなんて。さすがのイルミーレだって生きた心地がしなかっただろう。


「イルミーレはどこですか?」


「お帰りになりましたよ。もうお屋敷にいるのではないかしら?」


「いったい、何の話をしたのですか?」


「それは後でイルミーレ様本人から伺った方がいいでしょうね」


 ・・・この皇妃様は相変わらず捉え所が無い人だ。ただ、この口ぶりからだとイルミーレに危害を加えた訳では無さそうだ。少し安心する。


「では、なぜ私を呼んだのですか?」


「謝罪をしようと思って」


 王妃様は意外な事を言った。


「謝罪?何のです?」


「いろいろですわ。今回イルミーレ様を騙した事、私の父が色々ご迷惑を掛けている事、それと・・・、押し付けてしまう事」


 私は皇妃様を睨み付けた。しかし皇妃様は相変わらず微笑を消さない。


「あなたが選んだ伴侶があのような方で幸いでした。あれならば私よりも上手くおやりになるでしょう。帝国にとっても良かったこと」


「私は皇帝にはなりませんよ」


「やりたくなくてもやらなければならない事は世の中にたくさんあるものですよ?アルステイン様。イルミーレ様はその辺りが良くお分かりでした。あなたもそろそろ分かってくださいませ」


 く、まさかイルミーレに譲位の話をしたのか?私の頭越しに何と言う事をしてくれる。それを盾にイルミーレに私との別れを迫ったのではあるまいな?まさかとは思うがイルミーレがそれを了承したとか・・・。


 こうしてはいられない。私は慌てて立ち上がった。無作法だが構ってはいられない。部屋を駆け出すように出掛かった私に皇妃様の声が掛かる。


「あなた達の婚約の勅許は明日にも出すそうですよ。ご安心ください。アルステイン様」


 意外な言葉に思わず私は立ち止まる。振り返ると、皇妃様は立ち上がり、優雅に頭を下げた。


「あなたとイルミーレ様に謝罪を。大女神ジュバールと七つ柱の大神のご加護がアルステイン様の上にありますように」




 帝宮から屋敷まで馬を掛けさせ、車寄せで馬を飛び降りるとエントランスに駆け込んだ。いつも通りにイルミーレが微笑んで立っているのを見て膝から力が抜けた。良かった!私はイルミーレを抱き寄せ、うめいた。


「・・・無事でよかった」


「大丈夫ですよ」


 イルミーレは私をあやすように背中を叩いた。


 食後、絨毯の間に上がり、侍女を遠ざけて二人で話をする。イルミーレは整然と皇帝陛下とした話を説明してくれた。


 予想した通り、皇帝陛下の譲位の話だった。私が何度断っても陛下は私に譲位をする、と言ってくるのだ。私にその気は無いし、私や宰相がお支えすると言っているのに。その点に関しては宰相も同意見だ。


 しかし、話が私が先帝の子ではないという噂に及んで私は思わず頭を抱えた。そんな事まで話したのか!?どういうつもりだ兄上たちは。そしてどうやら兄はイルミーレの素性を詳しく知っており、その上でイルミーレに皇妃になるよう要請したのだという。・・・どこから漏れた?いや、忍者はそもそも皇帝直属。調べようはいくらでもあるか・・・。しかし、次代の帝国皇妃が平民出身でも構わないから、私を帝位に就かせようというのか?何を考えているのだ?兄上。


 話し終えたイルミーレは綺麗な瞳で私を見ている。はぁ。どうもイルミーレには何もかも正直に言っておいた方が良さそうだ。隠し事や嘘は彼女には多分、通じない。


「まず、私が母の、不義の子だというのは、嘘だ」 


 私の出生に関する噂は私が生まれた当時からあった事はあったらしい。母は生まれつき身体が弱く、当時の離宮、つまりこの屋敷で静養している事が多かった。そのため、母はこの離宮に愛人を囲って一緒に住んでいるとか、そこで生まれた私は先帝である父の子ではないとか噂されたのだ。


 しかし、父は私が生まれてからもそうだが頻繁に離宮に出向いて母や私と会っており、私は父に普通に愛されていた。そもそも皇族であった母は誇り高い女性で、かなり潔癖な性格でもあった。愛人を囲うとは考え難いのだ。


 だが、先帝が倒れ、帝位継承問題が本格化した時、宰相が突然その噂を持ち出し、私は先帝の血を引いていないと言い出した。その時、私はこの噂を利用すれば帝位から離れられると計算した。そのためあえて否定しなかった。すると宰相はどうも事実だと信じてしまったらしく、現在まで私への態度が強硬なものになってしまったのだ。


 まぁ、私は皇帝になる気は無い。出来るとは思えないし、私は兄を助けて御代を支えて行く。そう誓ったのだ。なので先帝の息子では無いという噂も放置してきたし、皇帝陛下から何度譲位を求められても拒否してきた。のだが。


「アルステイン様が行う不完全な統治と、今の皇帝陛下の統治ではどちらが上手く行くと思いますか?」


 イルミーレは逃げを許さなかった。そう。今の皇帝陛下の治世はどんどん無理が来ている。どんなに宰相と私が支えても、皇帝陛下の決済しなければならない事は多いのだ。その陛下が週の半分も朝廷に出て来られない。まして私と宰相が対立している状況では皇帝陛下が仲裁して裁決しなければならない事が増える一方となる。


 それを解決するには私が皇帝になった方が良い。しかしそれだと私は兄を皇帝の座から追う形になる。私が兄に捧げた忠誠と誓いが嘘になってしまう。それがどうにも許せなかった。


 だが、イルミーレは私が苦悩していると私の頬にキスをしながらこう言った。


「アルステイン様がそうお考えなら、それで良いのではありませんか?ただ、皇帝陛下をお助けする方法は色々ありますでしょう?」


 その笑顔は、私がどんな選択をしても付いて来てくれると、そう訴えていた。私の気持ちは少し、楽になった。




 ペグスタン皇国の大使から夜会の招待状が届いたのは私とイルミーレの婚約についての勅許が下りて一ヶ月程経った頃だった。二週間後。副大使着任の挨拶という名目だった。どういうつもりか?


 これまで私がペグスタン皇国の大使から夜会に招かれた事は一度も無かった。それはそうだろう。これまで私が皇国の侵攻を撃退してやった回数は軍務大臣になる前も含めて7回に及ぶ。一度などは追撃して皇国の領内奥深くにまで侵入した。皇国にとっては正に厄災だろう。そんな私を歓待するのは難しいに違いない。奴らが私に付けた異名が「帝国の銀色の悪魔」だと聞いた時には大笑いしたものだ。その私を招くとはどういうことなのだろうか?


 奴らはこのところ宰相に接近してしきりに和平論を吹き込んでいる筈だ。その甘言に乗って宰相はこのところ夜会で和平論を広げているらしい。宰相は内政は優れているが外交では楽観主義、平和主義が強過ぎる。現在でもしきりと国境で蠢動し、隙あらば侵攻しようと狙っている事が明白な皇国と和平して軍を削減しようと主張するなど正気の沙汰とは思えない。和平論には私は勿論皇帝陛下も反対しているが、その事が宰相が私から軍権を奪おうと躍起になる原因にもなっている。その時点で帝国の内情をかき回す皇国の謀略はある程度成功していると言える。


 更なる謀略の布石なのか、それとも示威行為か。とりあえず行ってみるしかなさそうだ。私は出席の返事を書かせた。


 あまりにも危険な香りのする夜会なので、私は一人で行く予定であった。しかしそれを耳にしたイルミーレが「行ってみたいです」と言い出した。


「ペグスタン皇国の文化に触れる機会ですもの。行ってみたいですわ」


 そう言えばイルミーレは戦利品として手に入れて図書室に置いておいた皇国の「聖典」を一生懸命読んでいたな。私も手に入れたばかりの時に見たのだが、あまりにも難解なのですぐに投げ出した。しかしイルミーレは対訳辞書と拡大鏡を駆使しながら一週間くらい掛けて読み切ったらしい。この屋敷に来た半年前には碌に字も読めなかったのに。恐ろしい学習速度だ。


 彼女がそう言うなら仕方が無い。護衛の手配を増やし、エルグリアにも武装させ、厳戒態勢で私達は皇国大使館の夜会に出向く事にした。


 皇国の大使館は官公庁街の近くにあり、屋敷としての規模は大きくない。高い塀や重武装は皇国との取り決めで禁止しており、一見簡素な屋敷にしか見えないが、良く見ると防衛し易いように窓や狭間が配置されており、いざという時に備えているのが分かる。装飾や調度品はペグスタン皇国の様式で、流石に異国情緒に溢れている。それらを見まわしたイルミーレは目を輝かせていた。


 護衛に固められて大きからぬホールに入ると、30名ほどの人間がいた。半分が帝国の貴族だ。宰相本人はいないが、宰相と関係が深い貴族とその夫人ばかりだ。後はペグスタン皇国の人間で、頬髯のある男性と帝国式と若干異なるドレスを着た女性。多分皇国の商人夫妻だろう。帝国貴族は兎も角皇国の人間は悪名高い私を睨んでいるのが分かる。


 イルミーレは楽しそうにホールの内装や料理、壁の絵やタペストリーを見て楽しみ、帝国貴族の夫人と挨拶を交わして雑談している。こちらの緊張感など知らぬふりだ。事前に言われていなければ喜んで料理や飲み物も楽しんでいたような風情だ。なんとも、肝が太い。


 大使と、新しい副大使がやって来た。なんだか気味が悪いほど上機嫌だ。私の周りの護衛、特にブレンの顔つきが厳しくなる。そして挨拶の後、何を始めるのかと思えばいきなりイルミーレを侮辱し始めたのだ。


「卑賤な生まれの女を娶らずとも、幾らでも高貴な女と婚姻可能でありましょうに。物好きですなぁ」


 実は皇国には男爵にあたる位が無い。男爵は昔の帝国では無領地の貴族の事だったのだが、封建主義国家のペグスタン皇国では領地を持たない者は貴族では無いのだ。そのため、男爵が皇国に行くと平民扱いになってしまうという話を以前に聞いた事がある。そして、皇国は帝国よりも貴族の地位が高く、血統を重んずる。男爵令嬢であるイルミーレを卑賎と断じ、彼女、ひいては私を貶めるつもりなのだ。


「卑賤な生まれの者は未来永劫、卑賤な血から逃れられ無いのです。そんな女と結婚しては将軍の血が汚れますぞ?止めた方が宜しいのでは?」


 おのれ言わせておけば!私は流石にぶち切れた。私への侮辱は兎も角イルミーレを侮辱するなど許せん!私は切れると口より手が出るタイプだ。一歩踏み出し大使の胸倉を掴もうと手を伸ばそうとした。


 瞬間、イルミーレがスルッと私の前に出てきた。一瞬私にふわっと微笑む。気勢を削がれた私の前でイルミーレは首をコテンと傾けて、大使に向かって問うた。


「それは『聖典』に書いてあるのでしょうか?」


 それを聞いて大使と副大使が動揺し、会場で固唾を飲んでこちらを見守っていた面々、特に皇国の人間がおお、と驚いた。帝国の人間で「聖典」の事を知っている人間はほとんどいない。年若いイルミーレから聖典の名が出たことに感心しているのだろう。


「ああ、そうだ。聖典にそう書いてあるのだ」

 

「それは嘘でございますね」


 イルミーレは待ってましたとばかりに大使の嘘を指摘した。


「私も聖典を読みましたけど、そのような事は一言も書いていませんでしたわ。逆に、第3章に『女神を信じる限り、人間は皆平等である』と書いてありますね」


 スラスラと聖典の文句を引用して見せる。驚異的な記憶力の持ち主であるイルミーレにとって「読んだ」というのは「覚えた」という意味なのだ。大使も副大使も驚愕する。


「聖典を読んだと申したか!」


「ええ、屋敷にありましたから。言葉が古いから対訳辞書を使って読むのは大変でしたけど」

 

 大使と副大使の口が開きっぱなしになり、同時に皇国人たちがざわめき、目を輝かせ始めた。どういう事なのだ?するとブレンが私に言った。彼は皇国との国境近くで生まれ育っていて、皇国の事情に詳しい。


「ペグスタン皇国の人間でも聖典を読んだ、というか読める人間はほとんどおりません。聖典は聖職者が『読んでくれる』ものなのです」


 つまりイルミーレはこの瞬間「皇国の聖職者並み」の人物であるとこの場の皇国人に認識されたことになる。


「そもそも初代皇主様は羊飼い出身ですし、付き従った7人の高弟も大工やら漁師やら商人やらではありませんか。一人も高貴な生まれとやらの方はいらっしゃらないでしょう?」


「しょ、初代皇主様を愚弄するか!」


「なぜ聖典に普通に書いてある事を言ったら愚弄になるのですか?初代皇主様は弟子を諭してこうもおっしゃいましたわね?『生まれを恥じるのは無駄な事だ。大事なのはこれから何を成すかではないか』聖典の第2章を読んでみて下さいませ」


 聖典を「読んだ」イルミーレは聖典を引用しながら大使達を追い詰める。なぜか皇国人はイルミーレが聖典の文句を暗唱する度に小さく歓声を上げている。


「聖職者に聖典を読んでもらうのは皇国人にとっては何よりの喜びなのです」


 ブレンが言う通り、皇国人がイルミーレを見る目は崇拝の気配を帯びてきた。


「大使様?あなたは本当に聖典を読んだ事があるのですか?聖典の第1章の戒律に曰わく『嘘を吐くなかれ。特に神の教えを騙る者は呪われるべし』とあります。聖典の内容を騙る事はその禁忌に触れておりますわよ」


 イルミーレがそう言うと、皇国人は遂に跪いて女神に告解の祈りを捧げ始めた。大使達も聖典を読んだことなど無いのだろう。無理もない。あれはそう簡単に読めるものではない。聖典の禁忌に触れていると指摘されて足が震えている。

 

「うるさい!生意気な女め!所詮、貴様等帝国人は大女神の恩寵から外れた異教徒に過ぎぬ!」


「ならば公爵でも男爵でもまとめて異教徒なのですから、卑賤も何もあったものでは無いではありませんか。それと、大女神の恩寵がどうとか言うなら、せめて異教徒の私より聖典を読み込んでから言った方がよろしくてよ?」


 完全にやっつけられた大使達を皇国人は嘲るように見ている。元々、皇国の商人は商売のために帝国との良好な関係を望んでいるのだ。帝国を敵視する大使達を良く思っていなかったらしい。その大使がよりにもよって帝国人に聖典の知識で打ち負かされたのである。大使達の株は底無しに暴落してしまった。


 この商人たちとは協力の余地があるな。私はふと思った。和平は兎も角両国との関係を円滑にするのにこの皇国の商人と上手く関係を結べないだろうか?


 その時鍵になるのはやはりイルミーレだ。社交の達人で、聖典の知識があり、元商人で商売についての話も商品の目利きも出来る。異文化についての興味も理解もあるのだ。これはいける。公爵邸で夜会を開いて皇国商人を招いてイルミーレに接待してもらい、懐柔してみよう。


 やっつけた大使を放置して退場しようとすると、皇国の商人たちが次々とイルミーレに略式の感謝の祈りを捧げて来た。すっかり聖職者扱いだ。私はイルミーレの耳元に言う。


「これでイルミーレの名前がペグスタン皇国にまで鳴り響く事になるな。多分『帝国の緋色の淑女』とかいう異名付きで」


「何ですかそれは。嫌ですよそんなの」


 イルミーレはむくれているが、皇国商人のネットワークでイルミーレの噂はあっという間に広がり、本国にまで届くだろう。もしも、イルミーレが皇妃になったなら皇国の「聖典」を暗記した皇妃が帝国に爆誕する事になるな。その存在は皇国に衝撃を与えるだろう。その衝撃を利用すれば皇国を内部を切り崩すきっかけ位にはなるかもしれない。私はイルミーレをエスコートしながら頭の中でそんな事を考えていた。


 実際にはイルミーレの噂は私の予想とはちょっと違った「帝国の緋色の聖女」という異名と共に皇国中に広がっていたのだったが、それを私たちが知ったのはずっと後の事になる。

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