#6 ジョイン・ザ・ドッグソルジャー

 あのあと酒場を出たおれは、クエストマーカーを頼りにシティ郊外をさ迷い歩いていた。


「えーと、地図によると、ここなんだよな……。」


おれは、マーカーに表示された地点で、一旦足を止める。




 目の前に広がるのは、うっそうと草木が生い茂る森林地帯。


ギャーギャーと鳥の鳴き声が鳴り響き、バサバサと小鳥たちが木の葉を散らし、木々から飛び立つ。




 おれは森に入る前にG・E・A・R・のメニュー画面を開き、インベントリから現在の装備を確認する。






 メイン:00年式アサルトライフル_LV1_


 サブ:セミオートピストル_LV1_


 近接:高分子プラスチックナイフ_LV1_


 投擲武器:ハンドグレネード_LV1_






 アサルトライフルにセミオートマチック、グレネードにナイフか。


なかなかいい装備だ。




 おれはライフルを構えたり、武器を切り替えたりして、一つ一つ動作を確認していく。


なるほど、どうやら基本はFPSと同じらしいな。




 ライフルにはリフレックスサイトなどの光学機器はついておらず、照準は環孔照門ピープサイト型のアイアンサイト。


いかにもFPSの初期装備といった感じだ。




 さらにライフルは単発、三点バースト、フルオートに切り替えできる優れものだ。


おれはライフルを三点バーストに切り替えて、試射してみる。


標的は眼前数メートル先の木の幹だ。




 タタタン !……タタタン !     




 森林に乾いた銃声が響き、目の前の木の幹に六つの穴がきれいに穿たれる。


照準に問題なし。


うん、いい感じだ!


これならいける!




 「さて、行きますか!」


一通り動作を確認した後、ミニマップのマーカーを頼りに森へと踏み入ってこうとした。


その時だ。




 「あの、ちょっといいですか?」


「うん?」


不意に後ろから誰かに呼び止められ、おれは思わずたたらを踏む。




 振り返ると、そこには野戦服を着たうさ耳の美少女がいた。


ハイライトのない紅い瞳、瞼の下に色濃く浮かんだクマ。


そして無表情で、生気のない顔。


どこかで見覚えのある顔だ。


おれは少ない脳細胞をフル回転させ、目の前の少女に関する記憶を思い出そうとする。




 「……えぇと、あなたは確か、同じエレベーターに乗っていた……。」


「はい、夜兎浦と申します。ついさっきゲームを始めたばかりの初心者です。」


そう言うと、夜兎浦と名乗った少女はぺこりとおじぎをした。




 「それで、おれに何か用ですか?もしかして、一緒にパーティーを組みたいとか?」


「えぇ、そうです。わたしこういったゲームは不慣れでして。よろしければ是非ご一緒させていただけないかなって。」


パーティーか、なるほど、悪くない。


むしろこんなケモ耳美少女とご一緒できるなんて、こちらこそ願ったりかなったりだぜ!




 「いいっすよ!じゃあ一緒に行きましょう、夜兎浦さん!おれはマーナ。マーナ・ガルムです。」


「マーナちゃん、ですか。いい名前ですね。あぁ、わたしのことは呼び捨てで結構ですよ、マーナちゃん。これからよろしくお願いしますね。」


_こうして、おれにこのゲームで初めての友人が出来たのだった。










 _夜兎浦が仲間になった!_


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