#2 キャラクタークリエイト

 一瞬、視界が暗転する。




 次にLOADINGの文字が表示され、すぐに消える。




 その後現れたのは、真っ白い研究所のような場所。




 そして目の前に『種族を選んでください』という表示が出た。


なるほど、先に種族を選択するのか。


人間、獣人、竜人。


大きく分けてこの三つの種族が使えるらしい。




 さらに獣人には犬、猫、キツネ、熊、タヌキなど、様々な亜種があるようだ。


おれは迷わず犬獣人を選択する。


けもみみモフモフしたいもんな。




 次に選択するのは性別。


おれは当然女を選択する。


すると、目の前に黒いインナーを着た女性の3Dモデルが表示された。




 女性の横には身長、体重、バスト、ウェスト、ヒップ……などといった各種ステータスバーが表示される。


これを色々いじって、理想のアバターに近づけていくというわけだ。




 身長は140、体重は40、バストは……。


おれはステータスバーを増減させ、次々と設定を入力していく。


しかし……。




 「ん?なんだここれは?」


不意に見慣れぬステータスが目にとまり、一瞬キーを叩く手が止まる。


そのステータスバーには『変異率』と書かれてあった。




 「変異率?むぅ……よくわからんが、とりあえずいじってみるか。」


おれは思い切って変異率の値を最大にしてみた。


すると、アバターの顔にモフモフとした毛が生え、顔つきがどんどんキツネへと近づいていくではないか!




 なるほど、この変異率というのは、キャラのケモ度をいじる数値なのか!


おれは色々と微調整を繰り返し、アバターを理想のケモ耳美少女へと近づけていく。


変異率20。だいたいこの数値がベターなようだ。




 次に髪と眼の色を変え、キャラの体型や顔立ちを微調整していく。


画面の中の少女が、どんどんおれの理想に近づいていく。




 ………それから数十分後。


「よっしゃできた!」


そのアバターのあまりの出来の良さに、おれは思わずガッツポーズをする。




 小柄でスレンダーな体型。


雪のように白く長い髪に、頭からぴょこんと生えた犬耳。


あどけないが、強い意志を宿した鬼灯色の美しい瞳。


ぷにぷにとした林檎のような柔らかいほっぺた。


幼く愛らしい、アイドル顔負けの美貌。


究極のケモ耳美少女の完成や!




 おれは目の前のアバターの美しさに、しばらく我を忘れて見惚れてしまう。




 ちょっと待って。


この超絶美少女ほんとにおれが作ったの?


あまりにも完璧すぎるんですが。




 完璧すぎて逆にドン引きだよ!


すごいなおれの才能!




 しばらくそうしていると、ディスプレイに「名前を入力してください」の表示が出る。




 おっと、うっかりしていた。


いい加減このキャラの名前を決めなきゃな。




 名前の自動生成機能もあるようだが、ここは自分で名前を考えるとしよう。


この超絶美少女にふさわしい、最高に素晴らしい名前を!




 そうだな……北欧神話に登場する神獣マーナガルムにちなんで、マーナ……。


マーナで決定だ!




 よっしゃ!これでキャラメイキングはあらかた完成!


あとはこのキャラの兵科……このゲームにおける職業を決めるだけだ。




 いったいどんな兵科があるんだろう?


おれは画面をスクロールし、一つ一つ兵科を確認していく。


兵科を選択するごとに、画面の中のアバターの衣装が変わっていく。




 このゲームに実装されている兵科は現時点でこれだけ。


突撃兵アサルト、偵察兵リーコン、衛生兵サポート、工兵エンジニア、無法者アナーキスト、殺人鬼スラッシャー、狂信者カルティストの以上七つである。




 うーん、突撃兵から工兵まではわかるが、残りの三つはなんだ?


無法者に殺人鬼に狂信者?いったいどんな性能の兵科なんだ?まったくわからんぞ ⁈






 キャラクリ前に攻略サイトでも見とくべきだったか?


頭の隅でそんなことを考えながら、ぼんやりと考え込む。




 自分がFPSでよく使っているのは突撃兵と工兵だ。


ついで衛生兵といったところか。


ちなみに偵察兵はあまり使ったことがない。


おれは狙撃が大の苦手だ。




 うーむ……ここは無難に突撃兵で行くか。


おれは突撃兵を選択し、決定ボタンを押す。


画面の中のマーナの衣装が変わり、タクティカルベストを着たPMCの兵士のような姿になる。




 さすがおれのアバター!何を着てもかわいい!


よっしゃこれでキャラクリ完了!


さっそくゲーム開始じゃい!




 おれは意気揚々とゲームスタートのボタンをクリックした。






 続く


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