第五十話 ポセイドンの娘
「デデデデ、あいつらウザい骨をやったデ」
深淵より深き地下。その中腹にある暗く広い空間で、玉座に似た椅子に座りながら流れてくる映像を見て、少女は笑っていた。
黄色い髪に黄色い体、その肌は濡れてるようにツヤツヤしている。
スタイルはほどほどに良く、ビキニアーマーに似た格好をしてるその少女は、ひとしきり笑ったかと思うと、すぐ冷めた顔に戻る。
「デデデ、一人は映像で見た服と違うが、
手を組み、
「あの黒い髪の女、かなり強いデ」
映像だけでクロノの強さを判断する少女。だが悲観的な顔はしていない。
「デデデ、まあ、あの程度なら『ロデー』には遠く及ばないがデ」
ニヤリと笑い、その少女、ロデーの正面でひれ伏すように倒れている『魔王Gエンド』より豪華な衣装を身につけたドクロを見下す。
「ぐぅぅ、バカな、『魔帝ラストE』が、こんな小娘に手も足も出ない……だと」
「デデデ、生命力のない魔力だけの骨はとっととロデー達の養分になるデ」
少女の右手が真っ白にバチバチと光り輝く。強烈な電気だ。
「デデデデ」
「ま、待て!」
「待たないデ『ワンビリオン・ボルト』」
ロデーが右手に溜まっていた電気を魔王Dエンドに放ち、空間を埋め尽くして部屋全体が真っ白に染まる。
「グオオオオオオォォォォォォ――――!!」
直撃を受けた魔王Dエンドが影も欠片も残さず完全にこの世から消滅する。
それを見たロデーが「あっ」と声を上げた。
「デデデ、またやりすぎたデ」
どうやら失敗した様子のロデーだが、別に落ち込んではいないようだ。何故なら――。
「でもロデー達の養分はまだまだこんなにたくさんあるから、別にいいかデ」
パチンも指を鳴らすロデー。
途端に、椅子以外の空間全体の壁が透け、光が差し込んで外が見えるようになるが、そこには液体カプセルに入った人間が180度びっしり壁という壁に埋められていた。
ロデーは壁に埋まる人間を見てニヤリと笑いながら、椅子に備え付けられたチューブを口に
「カァー、人間の生命力、それに魔力はやっぱり最高だデ」
アルコールを飲むようなテンションで生命力や魔力をどんどん飲みながら、映像越しにこちらに向かっているクロノ達を見て。
「デデデ、お父様が言うにガーディアンズの生命力、魔力はこの宇宙でも最高級の味らしいから早く飲みたいでデ」
と、プレゼントを待つ子供のようにウキウキしながら、何も無い空間で一人笑うのだった。
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