第2話

ラブホ街の少し広い道はいかにもカップルみたいな2人組や、僕達みたいに高校生くらいの娘を引き連れて歩くおじさんが闊歩していた。彼女と僕もそれらの一部であることに幾分かの喜びを感じて、組まれている腕を引き締める。

しかし、歩くにつれて異常なほど心拍数が上がって、これはもう無理だ、怖いと咄嗟に

「いきなりホテルって、なんか緊張します」

彼女のほうを見ずに震えた声で呟く。彼女は間髪入れず

「あーたしかに、お兄さん慣れてなさそうだしちょっとお話できるとこ行きますか」

僕が素直に頷くと、彼女はまた少し笑って腕を組み直した。たまたま見つけた、個室のある居酒屋に入った。

あまり綺麗な店ではなかったが、人の良さそうな青年がはきはきと「いらっしゃいませー」と挨拶をしてくれたのでまあいいだろう。

そのまま個室に通されて、彼女はスムーズな挙動で奥の席に座り、僕に向かいに座れと席を指さした。隣に座るわけないだろうと呆れたが取り敢えず向かいに座った。

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