第10話

 お嬢さんの気配はすでに覚えているので気配察知を使ってお嬢さんの気配を探す。

「やぁお嬢さん。どうやら家族と出会えたようだね」

 僕は家族と再開し、抱き合って喜んでいたお嬢さんに話しかける。

「あ!えっと……あれ?まだ名前聞いていないよね?」

「ん?そうだね」

「だよね!私の名前は明日香。八重明日香。そっちの名前は?」

「秘密」

「え?」

 僕が秘密だと答えると、お嬢さん、明日香は驚き動きを止める。

「別にそんなに親しくなるつもりもないしね。ちゃんと家族と再開できてよかった。それでは僕はこれで。多分もう二度と関わることはないと思うけど。それじゃあね」

「え!……あ!」

 僕は一方的に明日香に別れを告げ、その場を離れる。

 いやー、明日香も家族と会えたそうで良かった良かった。

 ……あれ?いつもどおりの癖で一方的に別れを告げてきたけどだめじゃね?

 僕は彼女を作ると決めたじゃないか!

 僕は明日香にとって命の危険を救ってくれたヒーロー。仲良くなっていけば僕の彼女になっていたかもしれないのに……。

 あぁ、惜しいことをした。

 残念ながらもう手遅れだけど。

 あーあ。

 ちょっと気をつけよ。

 気をつけないと癖で一方的に別れを告げてしまう。

 深い関わり合いを拒む僕の悪い癖が炸裂してしまう。

 さて、明日香の無事も確認したしどうしようか。

 強い魔物がいるかどうかでも探してこようかなー。

 僕がこれからどうするか考えていると、話しかけられる。

「お!少年じゃないか」

「あ、どうも」

 話しかけてきたのは大型ショッピングモールで出会った自衛隊の人たちの一人。

「お仕事は終わったんですか?」

「あぁ。報告は終わらせたよ。それで?少年は家族と会えたのかい?」

「えぇおかげさまで」

「そうかそうか!それはよかった。おかげさまでと言われても俺らは何もしていないが、ただ助けられただけだな。改めてお礼を言わせてください。ありがとうござました」

 自衛隊員が僕に向かって頭を下げる。

「いえいえ、気にしないでください。当然のことをしたまでです。頭を上げてください」

「ありがたい。そう言ってくれると助かる。それで?これから君はどうするんだ?」

「まだ決めてないですね」

「そうか。では一つ頼まれてくれないだろうか?」

「なんです?」

「今度大型ショッピングモールの方に行き、何か使えるものがないか探しに行くのだが、その前に驚異となる魔物がいるかどうか確認してきてはくれないか?」

「それくらいならお安い御用ですよ」 

 どうせやることなんてなかったし、丁度いい。

「そうか!それは助かる!では任せたぞ!」

「えぇ。それでは行ってきますね」

「あぁ。よろしく頼む」

 僕は空間操作を使った大型ショッピングモールまで転移した。

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