第09話 激震!明らかになる真実

 「ぶはぁ!」


 「まだまだ〜!〈氷結〉!」


 「ぶぐぶふぁっ!」


 こいつ、何気に厄介なスキルを持ってやがる…!

 え?一体何が起こってるかって?説明しよう。俺は走太の分身とこのゾーンを走っていた。だが、もうすぐ抜けるってとこで邪魔が入った。この男のスキルは〈氷結〉。能力は名前を見ればわかるだろう。

 こいつのスキルは長い間持続するタイプで、さっきは水蒸気を冷やして地面を氷でコーティングしやがった。この熱さの中氷を作れるくらいの威力を持ってるとか、ただただ恐ろしいとしか言えない。

 そして今俺は、冷やされた水蒸気による水攻めを食らっている。


 「地味な攻撃だが、ちょっとずつちょっとずつ体力を削って、Youを脱落させよう。」


 「けっ、いいスキルをお持ちのようで何よりだね!」


 俺の〈ガイド〉は戦闘には不向きだ。磁海のように、近接戦闘なら素の技術力とスキルでいけるんだが、こいつみたいに中距離〜遠距離攻撃が可能なやつが相手だと厳しい。


 「上からくるぞ〜気をつけろ〜!」


 「なに!」


 上から氷柱のようなものが降ってくる。俺はそれを全てやつの方へ蹴り飛ばす。しかし氷の盾で防がれた。


 「そんなんでMeにダメージを与えられるとでも?」


 「そんなこと思っちゃいねぇよ。」


 俺のスキルがパワー型とかなら岩投げつけたりできるのになぁ…

 うまく機能するかわからないが、〈ガイド〉を使うしかない!


 「〈ガイド〉!」


 指示が表示される。この通り進めばやつに直接攻撃できる。


 「いくぞ!」


 「来るのか?Youも身の程知らずだね。」


 「それはどうかな!」


 俺は降ってくる氷柱や大量の水を避け、やつに近づいていく。


 「ちょこまかと!ふぅん!」


 足元からでかい氷の棘のようなものが生えてきた。だが、〈ガイド〉の指示はそれを考慮した道を示してくれる。

 俺は棘の先端を蹴って折り、踏み台にして跳び蹴りを放った。


 「Oh!」


 「どんなもんだ。」


 よし、これでこいつを終わらせる!


 「キィック!」

 

 「へっ」


 「なんだ?」


 「上を見てみろよ!」


 「ん?」


 上を見ると、そこには大きな氷柱があった。


 「まさかっ!」



、 


 「もう遅い!終わるのはお前の方だ!いけぇぇ!」


 氷柱が落ちてくる。ガイドの避けるにも間に合わない…すまない、2人ともっ!


 サッ…と言う感覚と同時に、動いていたものすべてがスローになる。

 と、後ろから誰かが高速で走ってる音がする。この音は…走太か!?


 「はっ!」


 やはり走太だ。走太はつららを砕くとそのままやつを蹴る。その瞬間、スローが解けた。


 「お前か、レベル2にアップしたっていうやつは!」


 「そうだ。悪いが、俺は案崎さんに話があってきた。お前には退出してもらう。〈ターボ〉!」


 そういうと一瞬にして相手を脱落させてしまった。

 

 「助かったよ走太。ありがとな。」


 「そんなことより案崎さん。あなた、自分が1位になるために俺達を利用してるって本当ですか。」


 「ん?どうした急に。誰かに何かそそのかされたのか?」


 「ただ案崎さんと同じ地獄からの参加者に言われただけです。」


 まじか…


 「確かに、俺は地獄から来た。だとしても、俺はそんなこと考えちゃいない。」


 「俺だって信じたくないですよ。でもあの人が嘘をついているようには思えなかった。それに、ルールブックにもタッグのことなんて書いてなかったし、磁海さんもそれらしいことを言おうとしていた。その度に案崎さんはその話を濁らせていました。」


 「…」


 「本当のことを言ってください。案崎さん。」


 やれやれ…ここまで、って訳か。


 「そのとおりだ。俺はお前らを」


 「利用している。」


 「そうですか…なら仕方ない。あなたとの縁もここまでです。きっぱりお別れします。あなたには脱落してもらう。」


 「ちょっと待ってくれ。俺は1位になりたいわけじゃないんだ。


 「言い訳は無用です。あなたは、無知な俺を利用した。それにルール違反でリタイアになるのはごめんだ。」


 やるしか…ないのか…


 「わかった。ここで…終わらせよう。」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る