第02話 登頂!山岳地帯

 ついに始まった!昔参加したマラソン大会を思い出す。だが今回は…人が圧倒的に多い!急がなくては!ん?なんだ?地震か?


「ここで全員止めてやる!〈クエイク〉!」


「まずい、あいつのスキルだ!地面が砕け散るぞ!」


 いや待てって、そんなんに飲み込まれたらリタイア確実だ。開始早々脱落なんて、そんなひどい話はない。


「おい走太、お前のスキルを使うんだ!」


「いや…でもどうやって!」


「ターボ!って叫ぶんだよ!あと、俺もちゃんと連れてけよ!」


「えぇ、た、〈ターボ〉!」


 突如、自分の足から管のようなものが出てくる。これ…まさかそういう感じ?


「よし、直線上を駆け抜けろ、走太!」


「いぃやぁぁあ!」


 管から火が吹き出したかと思うと、俺は、俺の背中に張り付いてる案崎さんもろとも爆発したかの如く加速した。


「うわぁぁぁぁぁぁ!」


「お、思ってたより加速するなこりゃ」


 俺と案崎さんは一気に前へ出る。後ろがどうなってるかはわからないが、距離は離せたはずだ。


「うぉぉっとっと」


 いきなりターボが切れた。これ、ずっと使える訳じゃないんだな。


「おーっと走太選手ともう一人、案崎選手が1歩前へリード!後ろの選手の多くは地鳴選手の〈クエイク〉により脱落!ゴースト・ラン史上一番と言っていいほどのクレイジーなスタートです!」


「お、いいぞ、俺達がトップだ。このまま追いつかれる前に最初のゾーンを突っ切っちまおう。」


 いつの間にか背中から降りて並走していた案崎さんが興奮気味に言ってくる。


「でもターボが切れちゃったんで次いつ使えるかわからないんですよ。」


「心配すんな。使えるようになったら感覚で分かるものさ。その時はちゃんと言えよ?置いてかれたらいやだからな。お、そんなことより、最初のゾーンに近づいてきたぞ。」


「ここで走太選手と案崎選手がファーストゾーンの山岳地帯へ踏み込みました!」


 山岳地帯か…岩がゴロゴロ転がってるし、ここを通過するのには時間がかかりそうだが…


「このゾーンの紹介です。ファーストゾーンである山岳地帯では、岩や崖、急勾配が選手たちの通過を拒みます。また道も造られていないないため、各々のスキルや運をいかに活用するかが鍵となります!」


 道がないだって?だとすると、俺のターボがほとんど無力になるっとことだ。それに、道があったって駆け抜けるのは困難だ。


「おい走太、お前、ターボ溜まってるか?」


「使えますけど、このゾーンじゃ無力化されます。だから地道に登るしか…」


「おいおい、俺のスキルも知らないでそんなこと言うな。」


 そういえば案崎さんのスキルを聞いてなかった。


「俺のスキルはこういう道なき道をゆくゾーンにはもってこいだ。いいか、お前はターボを使って俺の指示した方向へ走り抜けろ。」


「でも、こんなゴツゴツしてるんじゃターボを使ったって…」


「いいからやれ!俺に任せろ。」

 

 ここまで言われたらやるっきゃない。後ろの参加者の姿も見えてきた。あまりもたもたして追いつかれるのはまずい。


「よし、用意はいいか?」


「はい…」


「じゃ、使うか…俺のスキル!」



「〈ガイド〉!」


 


 


 


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